第20話 秋村華蓮の尻ぬぐい(始まり)
「それで氷川君。なんでこうなってるのかな?」
「それはおそらく先輩がドジだったからじゃないでしょうか。いやもう完全にそれでしょうね。うん、もうそういうことでしょう。」
かなり近くから聞こえる声に戸惑いつつも確定的に宣言した。
「というか動かないでください。ちょっと当たりそうなんで。」
「なにがかは聞かないでおくけど。今動いたら多分男女の壁を超えて大人の階段上っちゃうから。」
となぜか俺の腕に捕まり、押し倒されてる華蓮先輩がとても冷静に判断してくれた。
「確かに今その豊満そうな胸に飛び込んだら絶頂を迎えて昇天してしまうと思います。」
ピカッ、ゴロゴロゴロ。かなり近くから聞こえる雷鳴に照らされたのは、ブラが見えかけている高校生くらいの女子と、それを押し倒している無表情の少年だった。
そんなか少年がぽつりとつぶやいた。
「なんで・・・なんでこうなったんだ。」
先輩と思しき人からの冷たい視線とともに。
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時は遡り、今は部屋で澄野にもらったゲーム機で遊んでいるときだった。
「無理か。全然クリアできないな。」
「ああ。そこならキャラを氷元素に変えたらうまくいくよ。」
「なるほどね。確かにこのキャラなら・・・って、なんでここにいるんですか!?」
「ふふ。澄野さんは軽いのよね。漫画の新刊一巻で手を打ってくれたわ。ここの部屋の鍵もついでにね。」
「ここはまさかのおまけ!?というかなに頼んだんですか?」
「そんなことより頼みがあるのよね。ついてきてくれないかな。というかついてこないと後悔するわよのほうが正しいかしら?まあどっちでもいいわよね。うん。」
「勝手に納得しないでくれます!?でも一応聞いておきますけどどこですか?」
「私の家よ。」
俺に否定する余地はなかった。
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「さあさあさっさと上がって。」と適当に言われ中に入ると、外見からわかるように、、、(省略)
「ちょっと。どこに行くの?」
「はい?だって上がってって・・・」
「こっちに決まってるじゃない。何のために連れてきたと思ってるのよ。」
「ど・・・どゆことですかね?嫌な予感がするんですけど。」
疑心暗鬼になりながらも一応ついていくと、さっきの立派な館の裏に連れてこられた。そこには丈夫そうな一軒の建物があった。入り口には大量の荷物が積まれていて、おそらくこれは
「倉庫よ。」
と忌々し気に呟いた。何かあるのだろうか。
「やっぱりね後輩君。運動は必要だと思うの。」
「急に何話すかと思ったら。てか後輩君って何ですか。」
「あなたのあだ名よ。それでね、足腰とかをね鍛えさせてあげようかなって。」
「あっそういえば今日は澄野とミュージックフェスタに・・・」
「澄野さんは今日はどこかのフェスで、瀬川さんは実家帰り。つまりはあなたはフリーのはずだけど。」
「まだ何かあるのかしら?」と妙に勝ち誇った顔で言われた。うざっ。てかどうしよう。言い訳が思いつかん。
「ということで運動してね。不健康そうだし。」
「あの。一言多いですよ。」
するわけないだろ。この人絶対手伝わせる気だし。
「それじゃあいらないわね。今週限定の超レアキーホルダーなんてね。とても澄野さんに似てるキャラだけど。」
この日、俺は華蓮先輩に買い取られた。
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