先輩と元先輩の物語
第14話 日常の幸せさ
最近、俺は充実してると思う。友達も三人いるし、住むところも一応ある。頼れる先輩に勉強まで見てもらえた。これ以上望むものはない。でも一つ気になることがある。瀬川先輩だ。一応管理人の栗原さんは、「もう退院してるよ。もうちょっとしたら来るんじゃないかなあ?」と言われ、「ふふふ。面白くなってきたなあ〜」と意味不明のつぶやきは聞こえたけど、もうちょっとっていつなんだろう。文句を言いたいんだけど、なんか引っかかるんだよな。
「何考えてるの。早く行こう。」
待っててくれるなんて、感動するなあ
と成長した我が子を見るような目で見つつ、俺はノロノロと立ち上がった。
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なにか起こる予感がする。ホームルームを聞きながらそんなことを思った。でもこの予感自体がフラグなのかもしれない。
そういえば最近は、フラグも厄介事もない、普通の日常になってるな。やっぱり普通が一番だ。
「はい。それじゃあ、ホームルームを終わります」
いつの間にかホームルームは終わってた。この考えも杞憂に終わったか。ちょっと考えすぎたか。
「ねえ。さっきからどうしたの?ぼーっとしてるけど」
そういえば澄野があの勉強会以来、何かと学校で話しかけてくれた。一体どんな変化があったんだろう。結構嬉しい。
*昼休み*
「なあ氷川。今日転入してた美人な人知ってるか」
屋上で俊と昼ご飯を食べる、というのが最近のルーチンになっている。所在不明の友達を持つ人としては、とてもありがたいことだ。
「分かってるんだろう俊。俺はそういうのには鈍いんだ」
「やっぱゆきはそうだよな。まあでもお前ってある意味モテそうだし、落とせるんじゃね?」
「落とすって・・・お前はキザでイケメンだけど、俺には似合わないよ。モテたことないし」
一瞬睨まれた気がする。でもまたすぐにいつものヘラヘラしてる表情に戻っていた。気のせいか。でも本当に俊のことは謎だ。入学して3日たって話しかけられたて、嬉しかった。正直俺は口が上手いわけでもない。それにクラスから軽く避けられている気がする。なんもしてないんだけどなあ。
「んじゃ、俺彼女と約束してたから。もう行くな」
「ああ、この哀れな友人にかまってくれてありがとな。」
「あんま悲観するな。最低でもあのコブラ女よりかはマシだぞ、お前」
「コブラ女って?誰なんだ」
「別にどうでもいいことだよ。それより澄野さんと仲良くしとけよ」
「当然だよ。というか逆に俺が優しくしてもらってるよ」
ああ、そういえばそうだったな、と呟いて俊は彼女さんのとこに行った。彼女さんどんな人なんだろうな。羨ましい。
「さてと、俺は何しようか」
今から本読むのもいいか。いや、たまには澄野でも探てみようか。相次いつもなにしてんだろう。
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