第9話 友人と咲村さん

起きて早速管理人さんに相談した。だけどいつの間にか知ってたらしく話は進みやすかった。なぜ知ってたのかという疑問は心の中にしまっておこう。今はそれよりも


「彼女をここにしばらく泊めててもいいでしょうか?」


「いいよ〜」


「やっぱりそうですよね。っていいんですか!?」


「うん。あなたの頼みだしね〜」


管理人さんはてっきり許可しないと思ったけど、見直したな。意外と器は大きかったか。


「たまに言うこと聞いてくれるなら、ね」


一瞬怖く見えた。けど了承するしかないんだよな


「それじゃ、取引成立だね〜」


こうして無事約束はかわされた。俺何されるんだ?怖すぎる。


管理室を出て廊下に出ると彼女がいた。


「ねえ、」


「そういえば、名前なんて言うの?」


「えっ」


意外そうな顔をしてこちらを見てくる。そりゃ知りたいだろ誰でも。


「ああ、やっぱりそれか・・・」


「え、なにが」


「いや何でもない。体が狙いなのかって。私の名前は咲村桜」


そういえば口調が優しく、、って咲村桜??生徒会長に言われたあの不良中学生!?


「いや俺は体目当てじゃない。これは絶対本当だ。っじゃなくてお前咲村桜さんだったの!?」


「だからそうって言ってるじゃん。やっぱり・・そうなのか」


「どうゆうこと?」


「べつに、なんでもねえよ。ただ・・ただ私は今は親から見捨てられてるから。」


「だから?」


なんか戸惑ってる。なんでだ。


「俺は別に金目当てで拾ったんじゃねえよ」


「じゃあ、なんで私を拾ったんだよ」


不思議そうに俺を見る。


「そだな・・・敷いて言えば見捨てられなかったとか?なんか前の俺に似てて・・」


「あんたって、やっぱり」


「俺の名前は氷川ゆきだ。あと昔のことは言わない」


思い出したくない。もう過去を消したい。黒歴史ランキングナンバーワンにランクイン中なんだよ。


「ともかく、俺はもう学校に行く。絶対逃げんなよ」


「・・・」


こっちを見てる。疑問は残ってるんだろうけど、言わないでくれるだろう。


「それじゃあ、いってくるな。ここにいてくれよ」


可愛い妹みたいだな。けどこの子はどうすればいいんだろう。まあ、あいつに聞いてみるか。いつの間にか帰ってたし。


「そういえば、もういったのかあいつは」


「私はあいつじゃない」


「っていつの間にいたんだよ」


気づいたらいつの間にか後ろに立っていた。存在感がね。


「それよりも私はあいつじゃない。私の名前は、澄野・・・澄野望結」


「隅の望結?」


「違う。からかうな、笑うな。ばか」


「ぷっ、ふふっふ。ちょ、悪い。なんか面白くて」


「だから教えたくなかったのに」


「ふふふ、くく。だっ大丈夫だ。もう笑ってない。悪いよなほんと。だめだよな、うん名前で笑っちゃ。でも、ありがと、教えてくれて。なんか嬉しいよ」


「・・別に。おいていったのが申し訳ないから。プラマイゼロにしたかったし、」


恥ずかしそうに言い訳を言ってる。でも、こいつ、、いや澄野といるときが楽になるな。ほんと、最高の友人だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る