第5話 始まりは大切

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何故か見覚えのある屋上に立っていた。それで理解する。


「ああ、明晰夢ってやつか。」


頭がぼんやりとしていて、全然働かない。多分ここは前通ってた中学校かな。なんでいるんだっけ。

ぼーっとそんなことを考えていると、眼の前にいつの間にか俺くらいの女の子がたっていた。そうだ。俺はこの子を止めに来たんだ。その子がフェンスを登った。いつの間にか俺は走っていて、俺はーーーー


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「はっ」


飛び起きた。あれなんの夢を見てたっけ。大事なことを見ていた気がするんだが、あるあるだな、こうゆうのは。

ていうかここってどこだ、、ってああそういえばなんか入居させられて


「いや考えるなっ考えるなよー俺。たしかここは」


「ササラギアパートだよ」


「あっおはようございます。そして」


思い出してしまった。おやすみなさい。それは言葉にできなかったけど、伝わったはずだ。


「って寝ないでよ」


「いや、現実逃避したいんで。絶対起きたくありません」


そして丸まった。自尊心なんて、とうの昔に捨てたよ


「学校、遅刻しちゃうよ」


その一言で、俺は暖かな布団を飛び出した。忙しい。


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変な朝だったけど、俺の学校生活は終わったわけじゃないはずだ。すくなくともあの魔の手(アパート)はこちらには届いていないはず。今は入学式の挨拶だ。


「会長あいさつ。秋原会長、お願いします」


よし。ここから気を取り直して、新たな学校生活を


「こんにちは。早瀬中学の皆さん。さてーーー」


俺はほぼ頭に入らなかった。だってその人は、ササラギアパートに入って初めてあった人だったから。間違えて入って、そこで裸を、、。やめろ想像するな。忘れろ忘れろ忘れろよ。

そう自分を叱咤していると、いつの間にか挨拶とやらは終わっていた。降板するときに目があった気がするけど、気のせいだろう。ついでにとてつもない殺意もね。


クラスは結構良かった。明るい人もいるし、俺みたいな人(失礼だと思うけど)外眺めたり、新しい友達と喋ったり(すごいコミュ力だな)俺を睨んだり、、、あれ?変な人が混じってるような、ないような、、、まあ別にいいか。俺は朝日でも浴びて黄昏ようかな。友達もいつかできるだろ。諦めなんかじゃないからねっ


「ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、、、」


「馬鹿そうにぼーっとするのはいいけど、聞きたいことがあるからさっさとこっちみろや、変態」


何だこの人。すげー言葉使い雑だな、、、って意外と可愛い。白色の髪でおとなしそうな性格なのだが、、


「ごめん、さっきのは言い方緩かったね」


「いや全然きつめでしたけど!?」


「いや、僕の目の前にいる人間みたいな生き物に対しては、全然ゆるすぎたよ。ごめん。」


「いや謝るとこ間違えてるだろ。それに初対面で軽蔑しすぎだし、、というかなんで昨日の誤解を知ってんだよ」


「ちょっと放課後、付き合って」


全然話聞いてなかった。って


「え?」


唐突すぎだろ。これが青春?

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