朝練
「あ、今日朝練あるんだった!今何時!?」
俺の上に覆いかぶさってる月夜が急に焦りだしてあわあわとしている。いや、まぁ焦る気持ちも分かる。だって朝練あるの忘れて俺にだる絡みしてきて時間を潰してるんだから、しかも月夜は野球部のマネージャーで結構顧問が怖い。そりゃ慌てるよな、俺だってあの顧問に怒られるかもしれないってなったら焦るし
時間を確認するためにスマホを開くと月夜が画面を覗き込んでくる。
「もう7時だぞ、早く支度していかないと間に合わないぞ?」
「そんな……」
スマホの画面に映し出されている時間を見て月夜が硬直している。朝練は7時30分から、こっから学校までは20分程、急いで支度して少し急ぎめに行けばギリ間に合うくらい……そりゃそんな反応にもなるか
「どうして、どうしてロック画面が私とのツーショットじゃないの!?」
「・・・・・・は?」
「私はお兄ちゃんとのツーショットなのに!酷い!」
待て、今のは聞き捨てならない。ツーショットをロック画面に設定してるって言ったよな?そっちの方がよっぽど酷いんだけど?
「聞いてないんだけど」
「だって兄妹なんだから普通でしょ!」
「多分だけど普通の兄妹はそんな事しない」
「じゃあわかった!好きな人とのツーショットをロック画面にするのは普通でしょ!」
「それはそうだろうけどこの場合それは通らない」
きっと付き合ってる人同士だったら一緒に撮った写真をロック画面の背景にしたりSNSに乗せたりRINEのアイコンにしたりして俺たちラブラブですよ〜って言うのをさりげなく自慢したりするんだろうけどそれを兄妹でやるのは違くない?
「とりあえずスマホ渡してもらおうか」
「朝練に遅れちゃうから急いで支度してくるね!」
さっきまであんなにグダグダしてたのに急に俊敏になって部屋から飛び出していった。そんなに背景変えたくないの?と言うかその画面クラスの人とかに見られてないよね?見られてたらめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、いや、さすがの月夜も恥ずかしいとか思ったり……するなら背景画面に俺とのツーショットを使ったりしないか。そもそもいつツーショっなんてとったっけ?撮った記憶ないんだけど?
「1回考えんのやめて寝よ」
月夜も居なくなったしやっと寝れる。
◇
時間がやばい!なんで野球部のマネージャーなんて引き受けちゃったんだろう……あの時断っておけば!
お兄ちゃんロック画面が私とのツーショットじゃなかった罰として帰ってきたら勝手に変えちゃお!私はお兄ちゃんとの最高の1枚があるからいいけどお兄ちゃんの為に今日撮らせてあげないとね!
部屋にある時計を見るといつもならもう家を出てる時間になっている。もう髪綺麗に整えてる暇なんてないよね、あ〜早くしないと怒られる!急いで着替え終わらせて小走りで行かないと
部屋のハンガーにかかってる制服に着替えてスクールバッグの野球部のジャージが入ってる袋を持って少し髪を整えたあと1回お兄ちゃんの部屋に入る。
「お兄ちゃんの寝顔♡写真撮っとこ!」
お兄ちゃんにスマホのカメラを向けてシャッターボタンを押す。
「また1枚いい写真が増えちゃった♪」
「じゃあお兄ちゃん行ってくるね」
起こさないように静かに部屋から出て玄関に行くともうお母さんとお父さんの靴はなかった。
「いつも早いな〜」
ほんといつか仕事辞めてどっか行きそう。すごいお金貯めてるしパァッとどっかに旅行とか行ってもいいとほんとに思っちゃう。そしたら旅行に行ってる間私とお兄ちゃんだけ!お母さん達ものびのびできて私はイチャイチャできて一石二鳥!
そんな事を考えながら家を出て小走りで学校に向かっていると信号に捕まってる同じ野球部の人がいた。
「
「お〜月夜おはよう!」
お兄ちゃんに星河を合わせたらお前ら付き合ってんの?って言われそうで嫌だから今まで合わせたことないしこれからも合わせるつもりわない!だって私が付き合うのも結婚するのもお兄ちゃんだし!
ちなみに星河にマネージャーを無理やり勧められたからやってるだけでなんか理由を見つけたらすぐにでもこんな部活辞めたい!お兄ちゃんとの時間の方が大切!
でもこんな事を折角誘ってくれた星河には絶対言えないな〜あと時やっぱ断っとくんだった……
「早くしないと遅刻だね」
「早く青になってくれ!」
少しすると赤信号が青に変わった。私が信号に着いた時はもう赤が青に変わるタイミングだったみたいで良かった〜
「よし、じゃあ急ぐぞ!」
「そうだね」
星河と一緒に再び小走りながら学校の校門を通ってグラウンドに行く。
まだ練習の時間にはなってなくてまだ来てない人も結構いるみたいで良かった!女子更衣室にバックを置いて持ってきた野球部のジャージに着替えて練習で使う野球の道具を用意し始める。
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