今日寝れるかな?
◇
鼻歌を歌いながらスキップまじりで部屋まで歩いていく。お兄ちゃんと一緒に寝れる♪
嬉しさを隠しきれなくて部屋の前の廊下でお兄ちゃんに見えないように小さくも力ずよく
「やった!」
と小さく言いながらガッツポーズをとった。
こんな形でお兄ちゃんと一緒に寝れるなんて!でもお兄ちゃんが小学生の頃そんなに仲良かった後輩の子が居たなんて全然知らなかった……しかも女の人だなんて!お兄ちゃんが全然恋愛対象だとは思ってないって言ってたからさっきは軽い感じで流したけどそれはあくまで
部屋の中に入って心を落ち着かせるためにベットに倒れると掛け布団にバフッと沈んでいく。
「・・・・・・今日私寝れるかな?」
明日も学校あるのに今日ちゃんと寝れるの!?お兄ちゃんと一緒に寝るなんて嬉しすぎて寝れる気がしないんだけど?だって普通に考えてそうじゃない?大好きな人と一緒のベットで寝れるんだよ!?そんな状況で寝れる人なんて居るの?
・・・・・・でも流石に大丈夫……かな?お兄ちゃんと一緒に居るとすごい落ち着くからなんだかんだ言っていつもより快適に寝れたりするかな?
どうしよう、なんか凄い速さで心臓が動いてるんだけど、明日の朝起きたら半透明で宙に浮いてたりしないよね?
ベットの上にあるいつも使ってる枕を脇に抱えてリビングに居るお兄ちゃんの横のいつも座ってる椅子の方に行って座った。
お兄ちゃんが見てるテレビを見ると普段ドラマを見ないお兄ちゃんが珍しくドラマを見ている。
「お兄ちゃんなにみて……って!お兄ちゃんそのドラマ!?」
え!?お兄ちゃんが見てるドラマって最近話題の兄妹の恋愛ドラマだよね!?なんでお兄ちゃんがそんなの見てるの!?・・・・・・もしかして!
「あ〜これ適当にテレビつけたらやって」
「ついにお兄ちゃんも私の事をそんな風に見てくれるようになったって事!?」
「違うわ!」
ですよね〜、お兄ちゃんが見る訳ないですよね〜でもこのドラマほんとに面白いんだから!私もスマホで毎週見てるくらいハマってるしクラスの人も結構見てる人多いんだよ?
「でもこのドラマ面白いな」
「でしょ!私もこのドラマ好きなんだよね!スマホで1話から見てるから今度イチャイチャしながら一緒に見ようね!」
「暇があったら
「え〜一緒に見ようよ〜」
お兄ちゃんの裾を掴んでグラグラと揺らす。
流石にイチャイチャしながら一緒に見るのは無理だったか……でも別にいいじゃん!兄妹なんだし普通だよ、普通!でもまさかお兄ちゃんがこのドラマに興味を持つなんて!
「・・・・・・で、ほんとに今日一緒に寝ないとダメなのか?」
「ダメに決まってるじゃん!」
流石に強引すぎたけどもうここまで来たんだから絶対に逃がさないよ!
「はぁ、そうですか、それで寝る準備出来たのか?」
枕持ったし気持ちも何とかして落ち着かせたし大丈夫!
「後は、歯を磨くだけ!」
「俺もそうなんだけど今お母さんが入ってるから歯ブラシ取りに行けないんだよな」
「じゃあ私が取ってくるよ!」
「頼むわ」
早く一緒に寝るために女の私が行くしかない!椅子から降りて脱衣所の扉をコンコンとノックして
「お母さん入るよ〜?」
お風呂場まで聞こえるくらい声を大きくしてお母さんに呼びかける。
「わかったわ〜」
声が聞こえたようでよかった、お母さんの了承を得て脱衣所に入って洗面台にあるお兄ちゃんの歯ブラシと私の歯ブラシを発見した。
「・・・・・・これがお兄ちゃんの歯ブラシ……」
ダメダメ!絶対になんもしちゃダメだからね!
・・・・・・今思ったけどお兄ちゃんなんで急に自分用の歯磨き粉を使うようになったんだろう。昔は一緒の使ってたのに、別に兄妹なんだし気にしなくていいのに、と言うか気にしないで欲しいのに!兄妹なんだから!
両方にそれぞれ自分の歯磨き粉を乗せる。
脱衣所を出てドラマを見ているお兄ちゃんに歯ブラシを渡す。
「お〜ありがとう」
「私の頭撫でていいよ!」
「それは遠慮しとくけど……なんかしてないよな?」
「なんかって何!?」
「いや、月夜の事だから何か仕掛けたのかと」
「そんな事しないよ!」
本当はお兄ちゃんの歯磨き粉を使おうとしてたなんて絶対に言えない!思っただけだから!使ってないからセーフだよね!ね!?
「いや、ならいいんだけど」
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