お父さん、そんなに落ち込まないで

「さっぱりした〜」


脱衣場の扉が開いて肩にタオルをかけた状態のお父さんが出てきた。そのままテーブルの方にあるダイニングチェアに座ってリモコンでテレビの電源ボタンをピッと押してテレビを見始めた。


お風呂空いたなら入っちゃおうかな?多分お風呂上がる時にはシチューも出来上がってると思うし


「おか〜さん私お風呂入っちゃうね」


「は〜い」


ソファーから降りて着替えを取りに行こうとした時


「あ、月夜ごめん、先入っちゃって」


「え?」


急にお父さんに謝られた。え?お父さん今悪い事してたかな?


「昨日職場で聞いたんだけど思春期の女の子はお父さんが入ったあとのお風呂は嫌うって話を聞いたから」


少し寂しいような悲しいような顔をしてお父さんはそう言うけど今まで全然気にしたことなかったんだけど?


「嫌だったらお湯抜いてお湯はりなおしてもいいからな」


「そんなの気にしないよ!」


笑顔でそう言うとお父さんは少し目をうるうるさせていた。そんなに気にしてたのかな……


「・・・・・・月夜はなんていい娘に育ってくれたんだ」


「多分そう思ってる人の方が少ないよ!」


これ以上この話をお父さんとするとお父さんがどんどん可哀想になってく気がするから早く切り上げないと!


「私はほんとに気にしてないから!ちゃっちゃと入ってきちゃうね!」


少し急ぎ足で自分の部屋に戻って着替えを選ぶ。ん〜今日は何にしようかな〜って言っても似たようなのばっかりだけど……


「これでいっか!」


適当に着替えを揃えて脱衣場に入って服を脱ぐ。


「ふふっお兄ちゃんとペアルック♪」


さっきまで着ていた服をギュッと抱きしめる。久しぶりにペアルックなんてしたよ!あの時はお兄ちゃんをからかう感じでいたけどやっぱり素直に嬉しい!


いつまでもこうしている訳にも行かないから洋服を全部洗濯機に入れてお風呂場に入ってシャワーを出してお湯を浴びる。


髪が全体的に濡れてきたから1度シャワーを止めてシャンプーを出して髪を洗う。


「やっぱこういう時は髪短い方がいいよね〜」


中学の頃までは髪伸ばしてたけど高校に入ってバッサリ切ったんだよね、でも切ってからわかったけど髪短い方が色々楽なんだよね〜クラスの女子の大半の子は髪長いけど……


髪が洗い終わったので次はボディーソープで体を洗う。そう言えば今週身体測定あった気がする。身長上がってるといいな、前測った時は145cmだったんだよね〜昔から身長小さい方だったから結構牛乳飲んできたのに全然身長伸びないし……


ま、まぁ?そのおかげかわかんないけど胸が大きくなってきたから良しとしますか!お兄ちゃんも1人の男!クラスの男子が小さいより大きい方がいいって言ってたしお兄ちゃんもきっと同じ事を思ってるはず!


全て洗い終わったからシャワーで泡をしっかりと洗い流して湯船に浸かる。


「はぁ〜体の疲れがとれていく〜」


そう言えばさっきお父さんが言ってた話アニメとか漫画では見た事あるけどそんなに気にするかな〜?明日クラスの子に聞いてみようかな?あ、あと「お父さんの洗濯物と一緒に洗わないで!」って言うのもよく見るけどそれも別に思わないんだよね〜だって結局洗剤とかで洗うんでしょ?一緒に入れたところでなにか変わるかな?逆に私はお兄ちゃんの洋服と私の洋服が一緒の洗剤で一緒の水で洗われてると思うと・・・・・・うへへ〜///


お兄ちゃんなんで今日はそんな疲れてるんだろう?今日は私より早く帰ってきてたかサークルは無いはずだし……もしかして、そんなわけないと思うけど女の子絡みだったりする?


「いや、それは無いよね?」


ないない、お兄ちゃんに限ってそれは無いよね!だってあのお兄ちゃんだよ?・・・・・・でもそう言えば高校の時お兄ちゃん勉強もそこそこ出来てたし運動はなんでも出来るし・・・・・・あれ?もしかしてお兄ちゃんって意外とモテる?


確かにお兄ちゃんのカバンから明らかに怪しいピンク色の封筒見た事あるし、なんなら告白された事相談してきたことにあったような気もする……


ザブンッ!


勢いよく湯船を出たから少しお湯が出たけど今はそんなことどうでもいい!大事な事を確認しないと!


勢いくお風呂場の扉を開けて脱衣所に出た。

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