夢日記にまつわる体験記

白木奏

前書

 私は観光で神社仏閣を訪れても、本気で願掛けしたことは一度もないし、こっくりさんなどが流行ってた頃も、参加したことはなかった。

 こだわりというほどのものではないが、なんとなく、目に見えないもの――世間一般に「オカルト」と定義されるジャンル――には、軽い気持ちで近づいてはいけない気がした。


 君子危うしに近寄らず、他者の領分を侵さないように敬意を払う姿勢は、生きる上で大事だと、私は考えている。

 それが人でも、「オカルト」とくくられるものでも同じである。


 このスタンスを貫いてきたおかげで今までオカルト的な出来事にも遭わず、好きなホラーミステリやオカルトの作品――オカルトは実践することに抵抗感を覚えるが、作品のジャンルとしては大好物だ――にドキドキをもらいながら普通に暮らしてきた。

 昨年までは。

 

 前置きが長くなってしまったが、今から語ろうとしているのは、ちょっとしたきっかけに触発され、私の日常を四か月ほど侵食していた夢の話である。

 

 あらかじめ断っておくと、当時の私は、この行動が危険を孕むオカルト的な意味があるとは知らずに、ただ「面白そうだし、創作のヒントになるかも」と始めた。

 しかし自覚無自覚に関係なく、何かの領域に踏み込んでしまった事実は揺るぎようがなく、それに伴う現象もまた起きるべくして起きたのだろう。


 自戒を込めて、夢日記にまつわる体験記をここに記す。

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