第14話 朝のコンビネーション

「お、ちゃんと朝おきられたんだね。えらいえらい」

ベットから起きると未華もちょうど起きたところだった。二人で伸びをしてから、台所に向かった。

「まずは定番の卵焼きから作るか」

「じゃあ私は野菜炒め作ろうかな。あっ、その前にご飯炊かないと」

未華が米を洗ってくれているので俺は先に卵焼きを作ることにした。

「セットしたし、今度こそ野菜炒め作ろう。」

焼き始めた頃合に野菜を切り始め、切り終わった頃焼くのが終わった。

「ちょうどいいタイミングだね」

未華と場所を交換し、弁当に卵焼きを詰めていく。

この調子で、どんどん作っていき、お弁当ができて、朝ごはんを作り終わったタイミングてご飯が炊けた。

お茶碗と、弁当箱にご飯を詰めて、席に着いた。

「お弁当作りって楽しいけど、大変だね。」

「そうだな。これを毎日やってる人がいる人の凄さがわかるな。」

「ほんとにね。私ちょっと疲れちゃったよ。」

「未華の分もお弁当作ったけど、学校はどうするんだ?」

お弁当のあまりの卵焼きを食べようとしてる手を止めて、考える素振りをした。

「うーん。今日はお昼から行こうかな」

「昼からなのか?それなら休んだ方がいいんじゃ。身体の調子が悪いなら無理してまで学校に行かなくてもいいだろ。」

「そういう問題じゃないよ。光希と一緒にお弁当が食べたいからお昼から行くの。光希ってたまに鈍感だよね」

俺って鈍感なのか?そんなことないだろ。いつ俺が鈍感だったんだろうか。思い当たる節がなくて唸っていると未華が先にご飯を食べ終わってお皿を、洗いに行った。考えるのをやめ、急いでご飯を食べて洗うのを手伝いに行った。

「そんなに急がなくていいのに。洗うのぐらい一人でできるよ」

「わかってるけど、なんか未華に任せっきりなのが嫌なんだよね。二人で出来ることはできるだけ未華と一緒にやりたいみたいな?」

なにそれ、と笑いながら笑顔で「ありがとう」と言ってくれた。

最近になって気づいたが俺は未華の笑顔で言われるお礼の顔が1番可愛くて好きなことに気づいた。この笑顔が見れるなら俺はなんだって出来そうだ。

部屋に戻り学校の準備をして、着替えた。階段を降りると、玄関先で未華にいってらっしゃいと言われながら弁当を受け取った。

「なんかほんとに夫婦みたいだね」

「そうだな。なら、いってらっしゃいのキスはないのか?」

冗談で言ったが本人は真に受けたようで顔を赤くして無理やり押されながらいってらっしゃいと言われて家を追い出されてしまった。

少しだけ本気で期待して多分残念な気持ちはあるが気を取り直して、学校に向かうことにした。


光希ったら急に変なこと言ってきて。無理やり追い出しちゃったけど、キスして欲しかったのかな。

ブンブンと頭を振り考えるのをやめて、洗濯を始めることにした。

今日はよく晴れてるなあ。すっかり春だしどっかピクニックに出かけたいな。こんな良く晴れてるにで教室の椅子に座って勉強と考えると学校に行きたくなくなってくるな。

「だめだめ。光希にちゃんと学校行かないとだめって言ってるんだから。私もしっかり学校に行かなきゃ。」

途中から独り言になってるのに気づいてベランダから、辺りを見渡したが周りには誰もいなかった。

独り言誰にも聞かれなくてよかった。でも、最近独り言が多くなってきた気がするかも。

「よしっ、洗濯完了。次はお掃除でもしようかな。でもその前にちょっと休憩しよ。疲れちゃったよ。」

リビングに戻るとインターホンがなった。誰だろうと思って返事をしてドアを開けるとお母さんが立っていた。

「おはよう、お母さん。家の中に入る?」

すぐ済むから大丈夫と言われたから、玄関で話をすることにした。

「どうしたの?急に家に来て。」

「未華にお弁当ちゃんとできたか気になってメールしたら返信がなかなか帰ってこないから心配になっちゃって」

そういえばスマホ部屋に置きっぱないしかも。

「ちょっとまっててね、スマホ部屋に置きっぱなしかもしれない」

部屋に取りに行き通知を見るとお母さんからしっかりメールが来てた。

「ごめんね、初めてお弁当作るから朝ちょっと忙しくてスマホ部屋に置いたままだったみたい。」

「大丈夫よ。未華の顔が見られたならそれでいいから。」

「良かった。お願いがあるんだけどいい?」

「全然構わないわよ」

「お昼になったら、光希とお弁当食べるために学校に行こうと思うんだけど、送ってってくれない?1人で行こうと思ったんだけど着いたら着いたで光希に『途中で倒れたらどうするんだ』って言われそうな気がして」

「そんなことなら全然大丈夫よ」

「よかった。ありがとうお母さん」

「そこまで未華のことを思ってくれる人が未華が好きになった光希君で、良かったわね」

「うん。光希が私の夢を叶えてくれたんだ。」

結局このあともお母さんと、話が弾んで、家に上がってもらって時間になるまで話し続けた。

「そろそろ学校に向かおうと思うから着替えてらっしゃい」

そう言われて、部屋で制服に着替えて、カバンを持ってリビングに戻った。すると、突然お母さんが上から下まで私の制服姿をを見て、少し泣きそうな顔をしたよあにみえた。

「行こっか」

私はそのまま、何も言わずにうん、とだけ言ってお母さんと一緒に学校に向かった。


三限目の終わりのチャイムがなった。あと一時間頑張れば未華と会えるのか。次の授業は体育か、昼前の体育はやる気が出ないけど弁当のために頑張るか。

「光希早く着替えろよ、次の体育サッカーらしいぜ」

鉋が着替え途中の俺に話しかけてきた。授業が終わってそこまで時間が経ってないのに鉋はもうジャージ姿に着替えていた。

「お前いつの間に着替えたんだよ。さっき授業が終わったばっかだろ。」

「次の体育がサッカーって聞いたからソッコーで着替えた。」

いつもの体育なら着替えるのが遅いのに、サッカーの時だけ早いのか。鉋のせいでいつもチャイムギリギリでグラウンドや体育館に到着してるからいつもこれぐらい早いと助かるのだが。

「すぐ終わるから先行ってていいよ」

そういうと、すぐに教室から飛び出していった。

俺も早く着替えてグラウンドに行かないとチャイムがなっちゃうな。鉋が行った後、直ぐに着替えを終え鉋と合流した。

鉋はもうサッカーボールを持っていた。

「もうボールまで出したのか。まだ触っちゃダメなんじゃないのか。」

「大丈夫だって。先生が来てからボール戻せばいいって。」

リフティングをしながら言われても集中してて先生に気づかずに見つかる未来しか見えないな。

まぁ別に見つかってもそこまで怒られるってわけじゃないしそんなに心配しなくても平気だろ。

しばらくすると、笛の高い音が聞こえてきた。集合の合図だ。急いで整列して、授業が始まった。

チームは自由だった。そのためサッカー部とそう出ないチームで別れそうだと思ったが、いい感じにサッカー部が別れてくれた。鉋とも同じチームになり試合は始まった。


「ちょっと早く着きすぎちゃったわね」

運転席から話しかけられ私はグラウンドでやってるサッカーに夢中になりながら「うん」と返事をした

少し車の中で待ってようか、と提案されしばらく車の中からサッカーを見ることにした。

元気に男子たちがボールを追いかける中に光希も混ざっていたが、すぐに見つけることが出来た。

やっぱり鉋君とのコンビネーションが抜群だな。目の前の相手を鉋君と二人でパスし合いながらスイスイと避けていく。そしてそのままゴール。

「いいなぁ。私もあんなふうにゴール決めたいな」

まぁ、もう無理なんだけどねっと胸の中で悪態を付くと授業終わりのチャイムがなった。

「さっ、チャイムもなったしお昼だろうからいってらっしゃい」

「いってきます」

バックを持って車から出て校門に向かうと、光希がすぐに気づいてくれた。

「やっぱり未華のお母さんの車だったんだ。試合中そうじゃないかって考えてたんだ。」

だからすぐに私が出てきたことに気づいのか。

「そうだったの?それより鉋君との二人のコンビネーション凄かったね、沢山人がいるのにスイスイ抜けてくんだもん」

「鉋が上手い具合に俺をフォローしてくれるからだよ。俺は鉋のいる方にパスしてただけ。」

「それでも、周りの人達、光希のパスするまでの間ボール取れてなかったんだし、すごいよ」

ありがとう、と言いながら少し照れていた。

「お弁当楽しみだね。どこで食べよっか」

「学食の所だと混みそうだから、教室でいいんじゃないのか。」

「屋上とかダメかな?」

「屋上なんて、使えないだろ。鍵かかってるし」

アニメやドラマはみんな使えてるのに、現実はほんとに残酷だな。何とか出来ないかな

「先生にお願いとかしたら使えそうじゃない?」

「お願いしても無理だろ」

教室でもいっか。光希と一緒に食べられるんだし。でも初めて二人で作ったお弁当ぐらい、特別な場所とかで食べたかったな。

「じゃあ、早く教室に行ってお弁当を食べよう!」

そう言って走り出すと、後ろから転ぶと危ないぞと聞こえたが、「早く行かないと時間が無くなっちゃうよ」振り向いていい、また走り出した。

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