第5話 素敵なお嫁さん (2)
風邪が治った日から徐々に未華は、学校に登校するだけの僅かな時間でもすぐに疲れてしまうようになり、休憩を挟まないと登校が厳しくなっていた
俺はすぐに未華の母親にこのことを話に行った
俺と未華の母親とで話している時、二階から、大きな物音がした
心配になり、未華の母親と一緒に未華の部屋を見に行くと、未華が倒れていた
未華の母親何が起きているのか分からず、その場に崩れ落ちた
俺はすぐさま未華に駆けつけ、未華ベットに移動させ、救急車を呼んだ
病院に付き、未華は集中治療室に運ばれた
その後母親だけ医師に呼ばれ、集中治療室の前で俺は未華を待っていた
数時間後、扉が開きベットで眠る未華は個室へと移動
した
しばらくすると扉が開く音がし振り向くと母親が入ってきたそして、未華の心臓から腫瘍が見つかった言われた
今まで1番近くで見てきたのになぜ俺は未華の異変に気づかなかったのだと、自分を恨んだ
未華の母親は未華が起きるまで泣いていたが未華が起きてからは、未華の前では涙を流さず明るく振舞っていた
未華はなぜ自分が知らないベットの上で寝ていて、病院にいるのか、わかってなかった
未華の母親が父親に今日起きたことをを電話している間
母親の代わりに未華になぜ病院にいるか、などを説明した
未華への説明が終わった時、電話を終えた未華の母親がこっちへ向かってきた
「ごめんね、心配させちゃって」
未華は母親に謝った、一瞬、未華の母親の目が潤んでいるように見えたが、すぐに笑顔を作り「無茶しちゃって、強くなったね」
言葉の最後がが少し掠れていた
それだけ言い残しまた部屋から出ていった
未華は下を俯き目にはいっぱいの涙を溜めながら絞り出すように
「1人にしてくれるかな」
潤んだ瞳でこちらを見ながら未華は言ってきた
俺は未華の頭を優しく撫で、部屋を出ていった
多分未華は、俺の前で泣かないようにしてるのかもしれない
それも未華の思う、理想の『素敵なお嫁さん』になるためなのだろうか
「情けない」
きっと未華は俺に余計な心配をさせたくなくて、泣くのを我慢してたのだろう
未華が俺に弱さを見せれば、俺がもっとしっかりしてればと責めると思い、俺の前で泣かなくなったのだろう
俺のためを思い、未華はそんな事をしているのだとしたら、未華を俺はどう支えればいい?
俺は未華を素敵なお嫁さんにとして居させられる、相手じゃない
未華が自分の弱さを見せないように、1人にしてくれと頼んだのに、気づくと俺は俺の勝手な妄想で、自分を責めるようになっていた
この先も未華には心配させてしまうかもしれない、
そのせいで未華1人が辛い思いをしてしまうかもしれない
そんなのは嫌だ、この先俺よりも素敵な人がいるかもしれないのに、それよりも未華は俺を選んでくれた、素敵なお嫁さんでいられる相手を見つけた
ならその相手に選ばれた俺は、約束とは違えど、未華にふさわしい相手にならなくては、あの時心に誓った思いを無下にするとこになる
俺は未華に自然に笑ったり、泣いたりしていて欲しい
病気に負けないくらいに元気に笑っていて欲しい
悲しくても、それを忘れるくらい笑って過ごして欲しい
笑顔だけは絶やさずにいさせたい
未華、俺はもう過去の事でうじうじしない
いつか君がいなくなる時が来たとしても、辛くても生きてて良かったって、思わせられるようにしたい
今未華は1人で病気の事に怯えてるはずだ、今支えられるのは俺だ
そしてまた俺は、『荒良々木 未華 様』と書かれた部屋の扉を開け
ベットに蹲り肩を震わせながら泣いている未華のベットに行き、その横にあるパイプ椅子にすわった
未華は急いで目元を拭い、起き上がって俺の方を見た
目の周りは赤くなり少し充血もしていた
「また、心配させちゃうね、でももう私は大丈夫だよ、心配しないで、絶対に良くなってみせるから」
見てて、すごく無理をしているのがわかる
「ごめん、俺のせいで無理させて、俺が不安がらないように、心配しないように、安心させようとしてくれて、ごめん」
「謝らないで、光希はいつも私の事を思ってくれた、だから私はその恩返しをしてるんだよ」
「そっか、ありがとう、今から話す俺の話を聞いて欲しい」
未華は、うん?っといったように首を傾げたが、
「いいよ」と言ってくれた
俺は1度深く深呼吸をした
「俺、未華にふさわしい男になるよ」
「素敵なお嫁さんの、素敵なパートナーになれるよう、未華が輝けるパートナーになるよ」
「未華の気持ちを知ってて言うのもなんだけど、俺と結婚を前提に付き合って欲しい」
「うれしい、でも、もしかしたら、私の病気は治らないかもよ?」
「そんなの関係ない!未華がいなくなるのは嫌だ。
未華が元気になるなら俺はなんだってする。これから先、もっと辛い思いをするかもしれない、それでも辛い以上に笑顔でいられるような思い出を作ってやりたい、俺は未華の泣いてる顔より、笑ってる顔の方が好きだ!」
「未華が笑ってくれないと、俺は悲しい、辛いなら一緒に乗り越えてあげたい、今までだってそうしてきたように、未華とはいつまでも一緒に笑ったり泣いたりして思い出を作って、生きて行きたい!未華がいないとつまらないんだ」
一呼吸おいて、未華の目を真っ直ぐに見つめ
「もう1度言う、俺と付き合ってくれ!」
「もう、場所考えてよね、 ふふっ」
「ごめん」
「謝んなくていいよ、嬉しい」
「ねぇ、私の事を素敵なお嫁さんにしてくれますか?」
「ああ、この世で1番輝く、誰もが憧れるお嫁さんにしてやる」
「じゃあ、付き合ってあげる、私の将来の素敵な旦那様」
「しゃがんで」
言われるがまま未華の顔より少し体制を低くする
その瞬間、唇に柔らかな感触が一瞬した
「約束だからね」
未華は顔を赤くしながらそういうと布団を被ってしまった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます