第2話 幸せな登校日

2人が、学校について未華が校舎を見上げた

「久しぶりに来たなぁ」

「あんまり無理するなよ、辛かったら近くの先生に言えよ」

「心配しすぎだって、私だって自分の体調くらいわかってるから」

心配だ、これから未華は保健室に行かないといけないから別れることになる。

「心配しないで」

「ああ」

そんなことを話しているうちに下駄箱に着いて未華と別れた

下駄箱から少し歩いたところに掲示板がありそこに各学年のクラスと名前が記載されている。未華と同じクラスで少し嬉しく、ホッとした


教室に入ると教室から久しぶりに聞くような声が俺を呼んでいた

「おはよ、暗気。今日は遅刻しなかったのな」

鉋がニヤニヤしながら俺の席に来た

「今日から未華が俺を起こすって言って来たから遅刻の心配はないと思うよ」

そう言って鉋の顔を見るとさっきよりも気持ち悪い顔でニヤついていた

「お前らいっつも仲良かったもんな。まさか告白までして付き合い始めるとは。そのうち一緒に住んであんなことや、こんなことまで、なんて」

自分の体を抱きしめるような事をして勝手なことを言っていた

「そんなことになんないし、しないよ。それにあいつの体に無理はさせらんないからな」

「でも、元気になったらできるじゃん」

「そうだな」

そうか、こいつらには未華がまだ余命宣告されている事知らないのか。

でも、俺も余命宣告されたからってへこたれていられない。未華の病気を治せなくても、未華が笑っていられるように俺も頑張らないと

そう心に誓っているとホームルームのチャイムがなった

結局集会のあとの時間も未華は教室に入ってくることは無かった。

やっぱり無理したんじゃ、そう思っていると

「なぁ、やっぱりまだ荒良々木さん学校来れてないの」

鉋が俺に聞いてきた

「学校には来てるよ。朝一緒に登校して未華は保健室に顔を出しに行ったよ。その後は、分からない」

「学校には来てるのか、良かったな」

鉋が笑顔で言ってきた

「そうだな」

俺も内心不安に思いながら微笑んで返答をする


コンコン、「失礼します」

保健室のドアノックし中に入る

「久しぶりね、荒良々木さん。体調の方は大丈夫?」

「元気、です」

一応学校には余命宣告のことを言ってるけど無理を言って来てるから、迷惑を掛けないようにしなきゃ

「学校に来れるくらいの体力も戻ってきたみたいだし、顔色は12月の時よりはいいみたいね」

先生はそう言いながら何かを書いている

「これから集会だけど、心配だからクラスの1番後ろで私と一緒に聞いていましょう」

「分かりました」

そして先生が椅子から立ち上がると同時にホームルームのチャイムがなった


結局集会しただけでも疲れちゃって教室行けないまま

学校終わっちゃったな。

そう思っていると

「少しは楽になった?」

不安そうに先生が伺ってくる

「久しぶりの学校で少し緊張しちゃっただけで、大丈夫です」

「それならいいけど、これから帰りだけど帰れそう?」

時計を見るともうすぐ下校の時間だった

「一緒帰る人がいるので大丈夫です」

「そう、でも何かあったらすぐにそのお友達に言って学校に電話でもいいし、近くの家に掛け合って貰いなさい」

そう言って、私が立ち上がるのを待って先生は保健室のドアを開けてくれた

すれ違いざまに先生は「無理しないでね」

と念を押すかのように言ってくれた

振り返り私は「ありがとうございました」と言って校門に向かうとその横に朝も見た見慣れた人影が立っていた


未華、大丈夫かな、やっぱり保健室に行ってみた方がいいかな

鉋と校門で別れてからそんなことをずっと考えていた

しばらくして、学校から出てくる生徒が減った頃見慣れた姿が見えてきた

「体調は大丈夫か?」

不安そうに見てくる光希に対して

「大丈夫!ずっと保健室だったから元気だよ」

未華は明るく振舞って見せた

そして一緒に学校から出て、光希は帰り道に未華のしたいことを聞いて見ることにした。

「なぁ、未華、未華のやりたい事って何がある?」

横目で未華を見る

「なぁに?私が言ったことなら何でも叶えてくれるの?」

未華がイタズラ顔でこちらを見てくる

「内容次第だよ!」

無理難題を言ってきそうだな

「じゃあ、私は映画を見たい!」

「映画?具体的に何を見るんだ?」

映画か、でも未華が映画を見たいって言うのは珍しいな、もっとほかに食べ歩きとかかと思った

「あ、今意外だって思ったでしょ?食べ歩きとかだと思ったでしょ?」

げっ、バレてる

「私そんなに食い意地貼ってないよ、私だってろ、ロマンチックな映画とか見てみたいなぁって思うよ」

未華が少しモジモジしながら言うもんだから少しいじりたくなってしまった

「ロマンチックとか、言うのな。意外だなぁ、前は子供っぽいのとか平気で見てたくせに」

ニヤニヤしながら未華の方を見る

「子供っぽくないもん、ちゃんといい話だから、見てたんだよ!」

へー、と言いながら光希がスマホをいじり始める

「で、他には?」

光希がスマホに目を向けたまま言うもんだから私は少し悲しく思いながら次にやりたいことを考えた

「他には、食べ歩き」

あぁ、この時間が一生続けばいいのにと思いながら

ニコッと白い歯を見せて未華が笑う

「やっぱりそれが1番だろ」

そう言って光希も一緒に笑う

そんな話をしている間に未華の家に着いて未華に

「バイバイ」といい

未華と一緒に学校に行けた楽しさと、未華が元気になった嬉しさが耐えられず家に入るなり、家中に響くぐらいに「ただいま!」と光希は帰宅したことを母親に知らせた

また、また未華と一緒に学校に行ける

光希の心は今までで1番弾んでいた

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