心理描写、情景描写、テンポに展開ととても完成度の高い作品です。現実から閉ざされた空間と現実との間の行き来が絶妙で、そこから育まれる感情も事細かに描かれています。美しく煌びやかで、それでいて儚い屋敷とヒマリさん。少しずつ変わっていく賢嗣君。変わらない現実は非情でもあり、奇跡をも紡いでくれる暖かさを噛み締めることができます。幻想的で現実的な世界を是非ご覧いただければと思います。