第4話 谷長の孫娘、エリサ
「あちゃ~~」
二人と馬1頭を村中心部の神殿まで連れて行くと、谷長の孫でミジア様の直弟子のエリサが神殿の前で、鬼の形相で待っていた。
彼女の能力を考えてみれば、事情を知ってるくらい朝飯前のことだ。
明らかに不機嫌そうに、あたしを睨んでいる。
「リ~~リア~~!!”今”がどんな時か、わかっての所業なの?」
「だって、エリサ。銀髪の人、ほんとに具合がわる悪そうなんだもん。見捨てておけないでしょう?ミジア様だって、困ってる人がいたら助けなさいって常々おっしゃっていたよね。」
「それは、普通の時よ。今は、緊急時。大人たちがいないのよ。どうするの?」
「あら、そこは、ミシャールさんがパパっと、ね?」
あたしの言葉を遮るようにエリサは、更に怒っていく。
「ミシャールをあてにしないでほしいわね。なんで、彼が谷に残ってるか忘れてるの?」
エリサとあたしが、押し問答にじれてきたのか、金髪の体格のいい若者が横から口をだす。
「いい加減にしてくれ!こっちは病人連れだぞ。早く手当てをしろ。」
するとエリサが金髪の若者に、
「それは、自業自得では?ビルラードの第二王子様。
ロイルの長の葬儀の後、若長と出奔したそうね。」
え…?ビルラードの王子様…?
金髪の若者の若者はピクリとする
「なぜ…知ってる?もうここまで、追手が来ているのか?」
「いいえ。風の噂よ」
そして、エリサは続ける。
「噂では、ロイルの若長は生まれつき病弱で、銀の森の屋敷から出たこともないとか。そんな若長を連れまわしていたんだもの。こうなることとは、想像できたでしょうに。」
「その前に戻るはずだったんだ。ここの結界に手間取ってな…」
エリサ一つため息をつくと顔を上げて、あたしに言った。
「リーリア、リックを呼んできて!ミシャールにも用意してもらって。
私も後から行くわ。」
エリサと話が付いたらあとは早かった。
若長はあっという間に奥に運ばれ、癒し手のミシャールさんによって手当てされ、エリサも薬草を用意してる。
あたしの出来たのは、湯を沸かすくらいのことだった。
それにしても、若長ティラン様というのだけど、奥に運ばれてきてびっくりした。顔立ちの奇麗なきと、奇麗なこと。熱でうなされて苦しそうだったけど、それすらももう、美の域。こんな美少女見たことないって、湯を沸かした後に、
何もせずに若長に見惚れていたら、エリサに怒られた。
「何ボケっとしてるの」
って。
「だって、だって、すごく綺麗なんだもん」
「そお?精霊にはあれくらいゴロゴロいるわよ。」
平然と言い放つエリサ。
そんな!!精霊なんてあたしには見えませんて。
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