第2話  デュール谷のリーリア

 あたしの名前は、リーリア・フレイドル

 大陸北東部にある山間の村。この辺りじゃデュール谷と呼ばれるところに住んでる。

 聖なる光の神ロイルを崇める神殿の建つ村の中心部、谷長の館の隣があたしの家。

 父さんは、村の鍛冶屋で少し火の力が使えるみたい。母さんは、神殿に仕えてた巫女だったんだけど、結婚を機に巫女を辞めた

 で、まだあたしの物心つく前に亡くなった。

 本来なら、男手一つで育てるはずが、見かねた谷長の妹のミジア様が、谷長本家の子供たちと一緒に育ててくれたんだ。

 ちなみに、あたしには父さんのような火を操れるとか、ミジア様みたいな癒しや風の力なんてものは一切ない。

 一緒に育ったエリサはなんと、精霊が見えてお話も出来ちゃう精霊使いという力の持ち主。



 だからこの日の異変もエリサが最初に気が付いた


「長が亡くなられたわ」

「本当に?」

「エーレは噓はつかない。旅先で病にかかって、何とか銀の森までたどりついたけど、手遅れだったみたい…」


 長というのは、ロイルの長のこと。

 始祖にロイルの神の血が入っているんだとか。

 当代の長は、旅好きでよく放浪していた。この谷ににも滞在したこともあるから、あたしも知っている。



 本来のロイルの長なら銀の森にある神殿の最奥で、ひっそりと民の幸を願って、他の神官さんたちと光の神殿を守ってるよね。

 だから、沢山の人に尊敬されるし、ロイルの神は国を超えて崇められる


 でも、亡くなったミルドラン長は人に寄り添う生き方をした人だった。それはそれで長を慕う人は多かった。



 デュール谷でも多くの人が集まれるディムデルムの神殿に大人たちが集まり、長の追悼の祈りが行われることとなり、谷は一時的に閑散とした時だった。

 いきなり、谷の結界をすり抜けて二人はやってきた。




































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