第2話
先日顧問から、“中間発表会”を行う旨の通達があった。今日から数えると、ちょうど一週間後の予定だ。実は、あれからまだ松井田とは一度も会話がなく、また、合わせもしていないのだが、、、
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「横川、もうすぐ中間だから、ちょっと合わせようよ」
先に口を開いたのは松井田だった。中間前日になって、話しかけてきてくれた。今回吹く曲は、サックス用の楽譜で書かれていないものなのだが、私はあろうことか書き換えをしていなかった。その旨伝えると、
「実は私もまだなんだ」
と照れくさそうに話した。慌てて楽譜を書き換えて、行き当たりばったりで合わせてみたが、当然のごとくボロボロ。さすがに二人で危機感を覚えた。私はこの夜、眠たい目をこすりながら楽譜をサックス用に書き換えた。
翌日の練習で、もう一度松井から合わせようと打診してもらった。
「さすがに吹けないんじゃないかってところだけカットしたよ。形式とかを顧問に突っ込まれそうだけど、そこは無視しよう」
「あ、了解です。ありがとう、松井田」
何やら照れくさそうな顔で、松井田は小さな声でとうなずいてみせた。
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