第13話 冒険者ランクってなんでしょう
「そういえば、いーきゅうとかでぃーきゅうってなんなの?」
ボブが言ってたことの中で気になったんだよね。
何かの資格みたいなものだと思うんだけど、何の資格なんだろう。
「たぶん、冒険者ランクのことかな」
「ほぉう、ぼうけんしゃ!」
思わず興奮して、ロイを見上げてしまった。
だって冒険者だよ。
探索者でもいいけど、ファンタジーの定番でしょ。
ステータス鑑定なんてものがあったから、あるんじゃないかとは思ってたけど、テンション上がる!
「ねえねえ、ぼうけんしゃぎるどある?」
「あぁ、冒険者ギルドは知ってるのか。あるよ。そこで冒険者をランク分けしてるのが、冒険者ランク。見習いのGから始まって、A、B、C、D、E、Fとあるね。SとかSSっていうのもあるけど、彼らは別格」
「ほぉおおおおおお!」
すごいすごい、S級とその上なんてのもあるんだ。
別格っていうことは、伝説の冒険者とかドラゴンスレイヤーとかそういうのなのかな。
大きくなったら私も冒険者を目指そうかしら。
冒険者ギルドにはやっぱり酒場が併設されてたりする?
今度町に行くときには、ぜひ連れてってもらわなきゃ。
「それで、いーきゅうってどのぐらいすごいの?」
「すごくはないかな。E級だと、すぐ辞めちゃわなかったっていうだけで、廃業しなかったら誰だってD級ぐらいにはなれるよ。信用して仕事を任せようと思ったら、C級以上じゃないとちょっと怪しいね」
さらっと言われて、スンとした。
それって威張れるランクじゃないじゃん……。
「E級どまり、っていうことは一応魔獣討伐をしたことがあるってぐらいじゃないかな。それなりに依頼をこなしてさえいればD級になるのは難しくないはずだし」
おおう、ダメじゃんボブ……。
「あ、何かのペナルティで降格された可能性もあるね」
何から何までダメじゃん、ボブ……。
D級にだって一目置かれてるって、ひょっとしたらそれも自称じゃないの?
何をもってしてあんなに自信満々でいられたの……。
ボブ……。
「ぼうけんしゃってなにするかしってる?」
他人事なのになんだか悲しい気持ちになってしまって、話題を変えることにした。
ロイは少し考えているみたいだった。
「……冒険、かなぁ」
「そのまんまじゃん!」
思わず突っ込むと、ロイは困ったみたいに唸りだした。
「そうは言っても人によっていろいろなんだよ。農家、とか、建築家、とか、音楽家、とか、商人、とか、聖職者、とか、これと決まった職業をしているわけでもなく生計を立てている人の総称って言ったらいいのかな」
「ほうほう」
「冒険者ギルドに登録さえすれば、それは全部冒険者だし、何か別の仕事と兼業で登録してるって人も多いよ」
「おてがるなんだね」
「身分証明として利用しやすいからね」
なるほどね。
身分証明書代わりに免許を取る、みたいな感覚か。
「ロイはぼうけんしゃとうろくしてないの?」
「してるよ。だけど、ずっと昔に登録してちょっと活動したっきりだから、今もE級のまんまだね」
「ぼぶといっしょだー」
「う……それは嫌かな」
E級ってことは魔獣討伐をしたことがあるんだ。
へー!
しかし、ちょっと活動しただけの青年ロイと同じランクのおじさん……考えると悲しくなるからやめよう。
「貴族はいざという時は軍事力となることが求められているから、基本的に男性は大体冒険者登録するね」
あ、なるほどね。
貴族の義務みたいなヤツで登録して、魔術討伐実習もした、みたいな。
「のーぶれすおぶりーじゅだ!」
「そんなのよく知ってたね」
やっぱり、貴族関係なのかな……と、ロイはぼそりと呟いたけど、それは違うよ!
私は庶民ですから!
貴族とか、ありえないし。
「主な依頼といえば、討伐と採取になるのかな。それと商人の護衛依頼なんかも出てるようだね」
「ほえーたのしそう」
うんうん。異世界といえば、って感じだ。
やっぱり私も冒険者登録はしておかなきゃね。
だけど、ロイは沈んだ声で付け加えた。
「B級になればそれなりの尊敬もされるし、A級なら貴族並みの扱いも受けるけど、一般に冒険者っていうのは危険も伴うし、何よりまともな職業とは看做されていない。楽しいっていうのはどうかな……」
おおう、そんなに甘い世界ではありませんでしたか。
「じゃー、ぼうけんしゃとうろくしてー、ぼうけんしながらじぶんができることをさがす!」
何せ私は4歳児なのである。
たとえ力以外は人並み以下だとしても、これからの可能性は無限大だし、夢を見ていても許されるお年頃なのである。
ここで大言壮語を吐かずに何とする。
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