四日目 希望と絶望 前編
今日の朝はなんだか軽かった。もちろん死ぬことは嫌だと思う。けど、心は少しだけ軽くなっていた。
「おはよー」
「お兄ちゃん。おはよー。ごはん食べていいよ」
「わかったー」
俺はリビングへと行くとすでにごはんはできていたので、席に着き、食べ始めた。
「いやー
「何言ってんの。そんなの当たり前じゃん。なに、いきなりそんなこと言って。褒めても何も出ませんよーだ」
「まあな。別に何か欲しくて言ったわけじゃなくてだな。ただ、ありがたみを感じるなーって」
「なにそれw そんなこと言ってないで早く食べなよ」
「今日、私委員会あるから先行ってるね」
「あーわかった」
「行ってきまーす」
「ああ、行ってらっしゃい」
俺は学校に着き、朝のHRもすぐに終わった。
「ええええーーーーー。 まだ
俺と
「いやーなんか伝えるタイミングというか、、そのぉ、、」
「もーまたそんなこと言って。昨日も言ったけどそれ逃げてるだけだからね」
確かに俺は逃げていたのかもしれないな。いや、逃げている。
「それに、
「そうか?」
「うん、絶対そう」
俺は
そういえば昨日、
「なんか思い当たる節があるような顔してるね。 よし。分かった。私も今日手伝うから
「ああ、そうだな。そうするよ」
今日、帰ったらちゃんと伝えるか。
俺は今度こそ伝える覚悟を決めた。そして、なんだか分からなかったけど心を覆っていた闇が消えるような。そんな希望のようなものが見えたような気がした。
「おお、仲直りできたんだな」
一限の途中で俺は陽菜とのことを仲直りできたと伝えた
「ああ、なんとかな」
「おお、じゃあ仲直り記念デートとかすんの?」
「一応...日曜にイエローランドに行く予定だよ」
「ひゃー。ラブラブだなーやっぱり」
俺はいつものようにその後の授業を聞いた。
一限目が終わり、
俺は気づいた。
そうだよな。
俺はちゃんと伝えようと思った。昼休みは
二限、三限、四限と何もなく終わっていった。
俺と
俺は言える。ちゃんと言えるぞ。俺、ちゃんとしろ。
いざ、目の前にして伝えようと思うと言葉がのどに詰まるような感じがした。けど、俺はなんとか自分の力を振り絞り、声に出した。
「ぁ、あのさ」
「あのさ」
俺は声に出して伝えようとした。が、俺の声は
「ん、どうかしたか?」
「いや、別に...
逃げた。俺は逃げた。口が開けば
「そうか。 えっとだな、、その、なんていうか。俺個人の話だけどいいか?」
「全然いいけど」
「実はだな。まだ、サッカー部の何人かにしか言ってないんだけど。俺はその、、
「知ってる」
「そうだよな。驚くよな。で、俺さ... え? 知ってた?」
「うん、知ってた」
俺は自分の話じゃなくなった途端、心が少し楽に感じた。そして、とりあえずは
しかし、好きな人の話とは...
「お前なぁ。あれでバレてないって思ってたのかよ。
「え、まじ?」
「それにこの前の体育祭。お前背中に
「な/// まじか よ」
俺は
こいつあれでバレていないとでも思ってたのかよ。他にもたくさん好きですアピールしてたくせに。
「で、好きなこと俺に伝えて来てどうするんだよ」
「告白する」
「おお、やるなー。頑張れよ」
「それで、協力してほしいんだが、
「そういう事ならいいぞ。おーい。
俺は
「え、
「俺が
「まあ確かに」
「なに? りょうちゃん」
「あー実はだな~」
俺は事のあらましを説明した。
「なるほどね~。うん。いいよ。協力して。じゃあ昼休みもそろそろ終わりそうだし行こうか」
「今からすんのかよ」
「行動は早い方がいいでしょ。で、呼び出すのはピロティでいいの?」
「ああいいけど、、やべーほんとにすんのか」
「ん、わかった。じゃあ先行っててよ。呼んでくるから」
「やべーめっちゃ緊張してきた」
「まあ、お前なら大丈夫だろ。
「そんな不安なこと言うなよな。なんか不安になって来たじゃねえか」
「すまん。すまん。まあそのなんだ。俺はお前らの事お似合いだと思うぞ」
「うっせぇ//」
俺は不安がっていた
「お、来たみたいだな。じゃあ俺は行くから。頑張れよ」
「お、おう」
俺は
「うっす」
「あ、りょうちゃん。今どんな感じだった?」
「あいつめちゃくちゃ緊張してたよw」
「いつも通りしてればいいのにww あ、二人話し始めたっぽいよ」
「お、ほんとだ」
俺と
「え、どうなったのかな。どうなったのかな」
「それな、めちゃくちゃ気になる」
結果に俺と
「
「
「ああね。それでどうだったの?」
「どうだったんだよ~ おい」
「それがですね。実は・・・」
やばい、やばい、やばい。めちゃくちゃ緊張してきた。心臓えぐ速いんですけど。
俺はめちゃくちゃ緊張していた。ただでさえ好きな人と話すのに、話がトントン拍子に進み、いきなり告白という展開になって来たからだ。
俺まだ心の準備できてないよ。
「お、来たみたいだな。じゃあ俺は行くから。頑張れよ」
ほんとだ。やばいって
俺は戸惑い続けていたがすぐに
「話って何かな?
「え、えっとだな。そのーそれは」
しっかりしろ。俺。ちゃんと言うんだ。付き合ってくださいって。
「俺と...そのー」
「ん?」
あーやばいやばいやばいどうしようどうしよう。
俺はとても逃げたしたかった。けどここで伝えなきゃと思い、
「俺と...つ、つつ」
俺は言おうとしたその瞬間
日曜にイエローランドに行く予定だよ
その言葉が頭によぎった。なぜだかわからなかった。ただなんとなくそのことが思い浮かんだ。
「俺とイエローランドに行こう」
「え?」
バカバカ。俺のバカ。何言ってんだよ。まじで。
自分でもなんで行ったか分からなかったただ、思いついた次にはその言葉が出ていた。
「今度の日曜日に、よかったらその な。遊ばないか?」
「日曜ね...」
「その、
しかも、あいつらの名前まで出して、バカだろ俺。
「ふふ。 いいよ。遊んでも」
最初、
「え、いいのか」
そしてちょうど雲が動いたからか、太陽が出てピロティに光の筋が入り込んで、
「その代わり、ちゃんとリードしてよね」
かわいい。 じゃなくて、
「おう、任せとけ」
そう言って俺と
「というわけでして。ほんとにすみませんでしたぁ」
「あー結局告白できなかったと」
「はい、、で、その、、」
「日曜の件だろ? 俺はいいけど
「私も全然いいよ。してみたかったしダブルデート」
「ありがとうございます」
「その代わり、ちゃんと日曜日には告白しろよな」
「はい、わかりました」
「なら、よし」
「ほんとにありがとな。
そう言って
「お、おう」
「どういたしましてw」
「やっぱ持つべきものは友達だな。これからもずっとよろしくな。な、亮哉」
俺の心は喜びから悲しみへと変わった。
ずっとよろしく か
俺はその言葉を聞いて周りが見えなくなった。とても暗くなった。自分に対してその言葉はとてもつらかった。
「ん? どうした?」
「おお、そうだな。これからもずっとな」
逃げた。俺はまた逃げた。本当のことを伝えられない自分に嫌気がさした。
「じゃあ、俺先戻ってるから。二人は仲良く喋ってな」
「お、おう」
「もう、なんでそう逃げるかな。
「いや、だって、、」
いや、言い訳はやめよう。自分の弱さが原因だ。自分が弱いばっかりに何も伝えられず、こうなってしまったのだから。
「そうだな。俺はまた逃げたよ。けど、今度はちゃんと伝えよう と 思う」
「はあ、ちゃんと伝えてよね。私は笑顔でいる姿を見たいんだから。いつまでもそんな感じじゃ許さないからね」
「お、おう。分かった」
「じゃあ私たちも戻ろっか」
俺は教室に戻る
はあ、俺は何してんだろな。ちゃんと伝えようと思っても逃げて逃げて... 何してんだろ。
俺は結局逃げてばっかで、いざ前にしても何もできないのか。
次機会があったら、俺は伝えようと思う。すべて打ち明けようと思う。
ただ、いざ目の前にするとどうなるか分からない。ちゃんと言えるのか。言葉で伝えられるのか。不安だ。
俺は自分が嫌だ。絶対に伝えられるという自信がない自分が...ほんとに嫌いだ。
俺は自分という存在に、自分の考えに、
絶望した。
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