#011: デジタル認知症って?
「デジタル認知症」って言葉聞いたことあります?
スマホ脳とも呼ばれていて、英語では「digital dementia」というらしい。
どんな症状が出るかというと、スマホやPCなどのデジタル機器の使いすぎによる情報インプット過多や機器への依存が原因となり記憶力、集中力、注意力、言語能力が低下し、これらの症状が認知症の症状と似ているため「デジタル認知症」と呼ばれているらしい。
実際、私も昔は問題なく覚えていた友人たちの携帯電話番号も今ではスマホの電話帳を頼らないと絶対にかけられない。完璧に記憶している電話番号なんて自宅の家電と自分の携帯番号くらい。家族の携帯電話番号でさえ覚えていない。この記憶力の低下は老化だけが原因ではない。
人間の脳は一度記憶したものでも不要だと判断すると、その情報を消去し新しい情報を記憶するために領域を空けるのだそうだ。限りある資源を有効に利用するための実に合理的な方法だ。その空いた領域にもっと重要な情報を格納するのであれば退化ではなく、むしろ進化なのではないだろうか。
人間の脳は実に不思議な働きをすることも研究で分かっている。
例えば、スマホを机の上の視界に入る場所に置いて勉強をしていると、音も鳴らず画面に何も表示されていなくても学習効果、記憶力、集中力が低下する。脳がスマホでできること(メール、LINE、SNSなど)をしっかりと覚えていて、勉強中だと分かっていてもメールやSNSが気になってしまうので学習効果や集中力などが低下する。SNSの依存性の高さはヘロインにも匹敵すると言われているので、脳は快感を求めてスマホを無視できない状態となる。
また、スマホが引き起こす睡眠障害も問題になっている。ブルーライトによる目の疲労や体内リズムが狂うことによって睡眠障害が引き起こされるらしい。デジタルデバイスが人間に及ぼす影響がこれほどまでとは驚きである。
私のような世代は人生の途中からスマホやタブレットなど常に持ち歩くことのできるデジタルデバイスとの関わりを持ち始めたのだが、生まれたときから当たり前のようにデジタルデバイスが存在し、それらとともに成長する世代はどうだろう。デジタルネイティブと呼ばれる世代やさらにその先の世代の脳の構造は今の我々のものとは異なるものに進化しているかもしれない。いわゆるニュータイプの登場だ。どんな生き物も環境に順応し適応するため進化する。デジタルデバイスの現在の弊害を克服するようにデザインされた脳に進化する可能性は大いにある。
私のような脳細胞が毎日10万個単位で死滅している年齢の人間に進化は期待できないので、弊害を理解した上で負の影響を最小限に抑えつつデジタルデバイスを使い倒すのもありだと思う。減り続けている脳の記憶領域を補う便利デバイスとしてスマホを割り当て、自分の脳の外部記憶装置として利用する。悪影響があるからといって遠ざけるより、負の影響をできる限り回避してスマホの便利さの恩恵を受ける方を私は選ぶ。
デジタルネイティブやそのあとに続く世代の人類にニュータイプが誕生する日を残念ながら私は見届けられないだろうが、近未来を妄想(「予想」ではなく「妄想」、この違い大事)するとワクワクするね。
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