#004: コロナから『サイコパス』の世界へ

 コロナの影響でいろいろなことが変化している。


 私は専門家でもないし、知識の豊富な研究者でもない。ごくごく普通の一般人だ。だが、世の中はごくごく普通の一般人が大多数なので、私と同じように感じ、考えている人も多いはず。なので、私がコロナ禍で感じていることをここでつぶやいて、「私と同じように感じている人がいる」と思う人が一人でもいてくれると嬉しい。


 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振い始めて最初に思ったことは、マスク着用者に違和感がなくなったこと。いや、むしろマスクを着用していないことに違和感を覚えるようになったこと。コロナ以前のマスク活用法は医療関係者を除けば風邪や花粉症対策、有名人が顔を隠すため、声優が喉を守るためくらいのものだった。日本は比較的マスクを受け入れる傾向にあったが、欧米でのマスク拒絶感は強かったようだ。欧米では人の表情を読み取るのに口元の動きを見る。なので、口元を隠してしまうマスクは表情を読めなくするため、恐怖さえ覚えるようだ。一方、日本では口元よりも目元で表情を読むことが多いためマスク着用は比較的スムーズに受け入れられた。目元で表情を読む日本人にはマスクよりサングラスで目元を隠される方が居心地が悪い。


 次に感じたことは、リモートワークの浸透スピードが異常に速かったこと。今までだって在宅勤務を推進していた企業はあったはずだけど、遅々として進んでいなかった気がする。ところがコロナで外出自粛や緊急事態宣言で出社しなくて済むような環境をあっという間に構築したのではないだろうか。必要に迫られると物事は早く進み、「やればできるじゃん」と思ったりもした。でもリモートワークが長期化し、弊害も顕著化しているようだ。その一つが「Zoom疲れ(Zoom fatigue)」というものらしい。この件については別の機会があれば詳しく話したい。


 リモートワークやオンライン授業より私にとってもっと身近な変化がオンラインショッピングの回数の増加だ。今までだってAmazonさん、Yodobashiさん、楽天さんには本当にお世話になっていたけど、ポチる回数がグンと増加した。今まで実店舗で購入していたものを外出を控えるためネットショッピングで購入したりして配達をしてくれる宅配便のお兄さんに申し訳ないと思うほど頻繁になった。(クロネコさん、いつもありがとうございます。)でも、実店舗を経営している方々の売上を減らしてしまっているのだから偏った経済活動になるわけで、ちょっと心配の種にもなっている。


 そして、今までにはなかった新しい習慣が現れた。それが体温測定。建物に入る前、お店に入る前、いろんなところで体温を測られるようになった。最初の頃は非接触体温測定器で額を狙われて測定されていたのだが(有人測定)、すぐにカメラで撮影したモニター上の自分の顔の横に体温が表示されるシステムが登場した(無人測定)。このシステムの登場は、あるアニメを彷彿とさせる。そのアニメとは『サイコパス』。私の好きなアニメの一つである。

『サイコパス』で測定するのは体温ではなく色相。街中に簡易スキャナが設置されていて、個々の色相の測定値から犯罪係数を割り出して犯罪に走る可能性の高い「潜在犯」を見つけ出す。潜在犯とみなされると隔離もしくは排除される。今の体温チェックのシステムに似ていませんか?一定以上の体温を示すと危険とみなされる。


 科学技術の進歩は昔から「諸刃の剣」と言われてきた。便利になる一方で使い方によっては自由や生命を脅かすものになる。『サイコパス』のようにまだ犯してもいない罪で隔離や排除されるのは納得できないが、使いようによっては犯罪を未然に防ぐ手段になるのは理解できる。独裁国家ではない民主主義国家によるある程度の監視社会はいずれ来てしまうと思うので、その時に情報をいかに取得、利用、共有するかが課題となりそう。厳しく監視されて怯えて暮らすのはまっぴらごめんだから。


 科学技術の進歩を恐怖と捉えるか希望と捉えるかによって見えてくる未来の姿はまったく違ってくる。私は希望と捉えて見えてくる未来を想像するとワクワクする。進歩の過程で新たな不具合や問題、課題が発生するのはいつの時代でも同じで、人類はそれらの問題を解決すべく新しいシステムやルールを適用して科学技術を受け入れてきた。これからもそうであって欲しいし、人類には賢くしたたかに生き延びる底力があると信じている。


 コロナの話から 『サイコパス』の色相チェック、科学技術の進化、監視社会まで話が飛んでしまったが、大きな壁が立ちはだかったときに人はそれを乗り越える術を探し出す。コロナがもたらした苦難を乗り越えた先により良い未来を作り出せる力が我々人類にあることを信じている。

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