第56話「第二回バトルロワイヤル本戦」
バトルロワイヤル本戦当日がやってきた。清志、皆夫、瞳、洋子の四人は会場の入り口前にやってくると、そこには見知った人物がいた。泣き女の事件で共闘した高校生の武である。彼の隣にはリクたちとパーティーを組んでいた仲間たちもいた。
「調子はどうだ?」
「問題ねえよ。そっちは?」
「問題ない。」
武はリクたちに協力していた。リクたちの目的は異界での脱落者の救出であったのだ。PKで敗北したリクはしばらくの間ソロで活動していたようだが、その間にアンノウンやほかのプレイヤーに敗北しエピックウェポンを失ったプレイヤーたちが、何者かに連れされれているところを発見したらしい。この世界が紛れもない現実だと思い始めるようになってからは、今までの行いを恥じてプレイヤーの救助のために活動していた。
「それじゃそっちは頼む。」
「任せろ。」
リクがなぜあんな大胆な策を講じたのか当時はわからなかったが、勝敗がどうであれ最も戦力消費が少ないであろう一対一の状況を創り出すための策だったようだ。それだけ清志たちの能力を評価していたということだろう。蜘蛛の大群に襲われた時も彼らの助力が泣ければどうなっていたかわからない。武たちは別の目的があり、清志たちの元を離れた。
「ねえ見てよ清ちゃん!あの対戦表すごいよ。」
本戦の会場は野球ドームのような形状で、壁には巨大なモニターが取り付けられていた。そこには今回のバトルロワイヤルに参加する3チームがメンバー名とともに記載されていた。
「18人パーティーと俺たちが4人パーティー。で残りが…なんか一人しか書いてないんだけど…。」
「ないねー。」
「可能性は二つあるよな。一つは予選でほかのメンバーが脱落してしまった。もう一つは…。」
「最初から一人で予選を勝ち進んだかだよね。」
「それはさすがに無理があるだろ、耐久的にも魔力的にも…いや。」
マナブーストを使えば可能性はあるのだろうかと思案する。どちらにせよジョーカーである可能性を考慮するべきだと思った。
「
「大丈夫ですよ。ちゃんと装備したのです。」
「私も大丈夫だ。ちゃんと守るぜい!」
「よし、行くぞ!」
清志一行はバトルロワイヤル本戦会場へと入場した。
『長らくお休み貰っちまってごめんなみんなあああ!DJトルティーヤ完全復活だぜ!さて今回は第二回バトルロワイヤル決勝戦だあああ!舞台は都市街、立体的なバトルが楽しめるぜ!今回のルールは簡単、何でもありのマーシャルアーツ地形を生かして戦ってくれえええ!勝利条件は二通りだ!敵2チームのプレイヤー全員を撃破するか、特別ゲスト超強力モンスター人狼の銀を撃破するだ!人狼の銀は思うがままにプレイヤーを攻撃するぞ!倒すもよし利用するもよし、なんでもいいから生き残れ!みんなの健闘を祈る!』
高層のマンションや公園など都市部や郊外にありそうな街並みをしたフィールドだ。ほかのチームは別の入り口から入っているらしく見当たらない。DJトルティーヤのいう人狼というのはおそらく以前清志が退治した狼男のことで間違いないだろう。
「まずはできる限り目立たないように移動しよう。敵の位置を把握するのが先決だ。」
「わかったのです。」
「…洋子、大丈夫か?」
「大丈夫なのです。」
「…皆夫は地形把握頼む。行くぞ。」
清志には何となく洋子の様子がおかしように感じた。しかしあまり問い詰めても用結果は産まないだろうと思い、行動を開始した。そこで思い知ったのは数の利と地形の利というものは、戦局を大きく左右するということだった。予選とは違う、いいや予選のせいで舐めていたのだ。統率された軍隊とは小隊で対処できるほど甘くはないということをわかっていなかった。その油断が今牙をむく。
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