第37話「双剣のシーカー」
泣き女の調査のため清志は環とともに女子バレー部員の一人を尾行することになった。通学路が田舎道であることを生かして木陰に隠れながら尾行を行う。
「それでなんでターゲットを四人まで絞れたんだ?今までのターゲットがバレー部員だったのはわかるけど、そこまで絞れるんならむしろ犯人見つける方が早くないか?」
「犯人なら見当ついてるっすよ。バレー部三年生の坂口みのりさんっす。」
「はい!?」
大きな声を出しそうになる清志に環はしーっと静かにするよう呼び掛けた。ターゲットを確認しながら話を続ける。
「事件が起こる少し前から行方をくらませた女子高校生です。タイミングがいいので彼女についても調べてたんすけど、武さんの情報も合わせるとそれが妥当だと考えました。」
「…昨日の話じゃ行方不明なんて話なかったけどな。」
「表向きは自宅療養ってことになってるっす。みのりさんはもともとバレー部のレギュラーだったそうなんすけど、部員との不和で補欠に格下げされたらしいっす。ヒステリーや暴言などその原因はみのりさんにあるみたいっすけど、それを糾弾して騒動になったようです。その主な関係者が…。」
「今回追ってる四人ってわけか。」
「はい。その中で一番襲われる可能性が高いのがみのりさんの代わりにレギュラー入りした今まさに尾行しているあの人、
「…今なんつった?」
あたりも日が暮れ始め、薄暗くなってきた。そんな中友達と別れ一人帰路につくバレー部員の三家。警察もここまで手が回らないのか監視の目もない。襲うには絶好のタイミングだ。そんな中二日に一回は人を襲う犯人が、出てこないわけもなかった。
「先輩!あれ!」
マンホールのふたが音もたてずに開いたかと思うと、そこから水が噴き出した。その水は濁っておりそれが不自然に集合したかと思うと人型に変形した。
「うああああ!うわあああ!」
「な、何!?」
それは濁った緑色の泣き叫ぶ女の怪物だった。河童というにはどろどろとしすぎているし、ゾンビというには明確な意思を持っているようだった。あれが泣き女で間違いないだろう。清志は瞬時にその指先を確認する。人よりも巨大で平べったいそれの指には間違いなく洋子たちと同じ、スネークリングがはめられていた。その手を振り上げ三家に襲い掛かる。さすがの運動神経でよけはしたが、足にかすり傷を負った。
「なんでよりによってここに来るんだよ!」
「もちろん計画通りっす!」
「警察に連絡してくれ!おれは…。」
「あの人を助けるために変身っすね!なら一緒にやる方が効率いいっすよ!」
「はい!?」
「てことで変身っす!」
環の両手には波状に曲がりくねった奇妙な刃のナイフがひと振りずつ握られていた。そしてそこから光が放たれたかと思うと、彼女の見た目が変化した。黒と紫の入り乱れた奇抜な髪と、オレンジ色の瞳をした少女に変身したのだ。これは、まさしく
「お前…エピックウェポン持ってたのかよ!?」
「ほら先輩も変身変身!」
もう身バレしているようなので仕方ないと清志もレグルスを起動させた。そして二人で三家を守るように泣き女に立ちふさがる。混乱している三家を無視して清志は質問する。
「お前もデビファンやってたんだな?ジョブは!?」
「デビファンはやったことないっすよ?でもRPGするときは大体決まってるっす。盗賊なんて言い方もあるみたいっすけど…。」
環は泣き女にナイフを向けて不敵に笑った。
「
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