さんかっきー

ジブラルタル冬休み

三角の私です、と、黒板に恭しく浮かび上がってきた。臭う。それは真夏の鮫の習性の音。湾曲直線と噂に聞くソリガ君が、真核生物の誇りを捨てきれず、ふてぶてしく、「ケィ!」と耳を劈く声を立てる。

「こらソリガ君、君は人を嫉んだね?2の紙に書いてある、19番の項目を、朗読するんだ」

先生に怒られる。

ソリガ君は、チェ、と心で舌打ちを走り込み、ずっと小さな声で「人を嫉んではいけません」と言った。

「よし」

先生は、厳かに言う。その時、どこからか

「いくぞう」

と声がした。しかし、先生はやっぱりお見通しなのである。

「こらベイゼラヌ君、君はよしと言った人にいくぞうと返したね?4の紙に書いてある、48番の項目を、朗読するんだ」

ベイゼラヌ君は、へらへらと、「よしと言った人に、いくぞうと返してはいけません」

「よし」



ここまで記した時に、ゼッチは、「これは嘘フィクションですね」と茶々を入れた。茶を入れてやったのに、おんなじやつ2個で返してくるとは、恩知らずだ。

確かに嘘だ。私が三角の顔をしていることと、ソリガ君とベイゼラヌ君が本当にぞんざいにゴマを奪い去ったこと、それだけが水素に穏当で、あとは、滌蕩だ。いくら私が教養絵本を書いていようが、ゼッチの言う通りだ。それは教養絵本に過ぎない。この2人も、オークション、間違えたなんだっけ、とにかくアレの六角形の顔を削るのに成功したから出たのだ。他にも3人、あ、そうそう思いだしたが、「オーディション…」に受かったやつが、この教養絵本に出られる。

「ボカァ絵本作家です」

「はい、私は編集者です」

「、でもあーた爪弾き者の鼻つまみ者なのでここにいるんだよね」

「ハッハッハ、死ね」

そんな具合であります。


私の教養絵本は、新興宗教のために書いている。私が勢いよく射出されるためには、私はそのつまらない出版社でつまらない絵本を書くしか、もはややっていけない。つまり、つまらない、が詰まらない、になって、∴射出されるのに潤滑な、という、上手い!

…おん年10歳にもなる私にとって、ここで受動態にさせられるか否かは、重大な問題なのだ。勿論、ゼッチは4歳だが、私とは種族が違う。彼もまた、命あるのだから必ず死ぬとわかっているのだろう、私の絵本に生の諦めをちりばめたがる。いや、ちりばめていないが、とにかく、ゴキブリである。これはいかんせん重要に難しいな。

S.O.S よー  (これは、この話を書いている時に、偶然Wake me upを聴いていたので、それに釣られてふと書いてしまった。2人とも悪くない)

「あーたって二人称使ってんのこのご時世で滝音のさすけだけだろーが」

「うるさいよゼッチ、本人が読んだらどうする」

「読まねえよ偏屈高校生の作文なんて」

「足し蟹」

「引き海老」

「かけ」

「学園」


「ガイザニ君とサッチベッカ君も出したし、残りは君だけだ、ゼッチ君、君は嫌味な教頭と負荷のかかる親戚小僧、どっちがいい?」

「端役しかないな、こういう時が真の『役不足』だな」

「仕方ないよ」

結局、ゼッチは怒られて、改心して、立派に修行する子供にされた。嫌味な教頭はって?それは。ボルキラ教頭。


いよいよ明日、という時になって、あたしんチが火事である、火事の木おじさんである。

「うぁぁぁぁぁイチケイのカラスみたかったのに」

ゼッチは家にタックルされるための彼がいないため、見たいドラマがあと9分で始まるとなると私の家に専門家と共に米を持ってくるのだ。これはうな章カスであるが、同音異義でオーギュメントののち可決され、虫続航である。

そんなことより、私は、とうとう、どこにも需要のない、うな章カスのさらにカスになってしまった。労咳と呼ばれるのだ。あーんあん。鳴き声も泣き声に変わる。嗚咽滞るままに、私は天に登った。


私は、生まれ変わった。

「ここは、変なとこだな、」

「ボルキラさん」

「うわ、君誰」

「このフェーズの案内役です」

「フェーズ??」

「…いやなんでもないです」

とにかく、私は次の命を待つ羽目になったそうだ。

…まあ、ネタでも考えて待ってれば良いや。


………天が気持ちいい…。

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