第5章 高島さんから僕へ2回目の告白

第54話 閑話<関西旅行>

 帰郷してからはじめて関西を1週間1人で旅行することにした。

 現地で1日だけ、同級生の寺尾君に、彼の住む大阪界隈を案内してもらうことになっていた。といってもこれまで何度も寺尾君とは関西で遊んだことがあったので、僕は”いつものように遊びに行く”感覚だった。

 兵庫の北野異人館街、大阪の海遊館、京都の…………、京都でどこに行ったかは思い出せない。

「大阪と京都って以外と近いんだよ」

 京都からの大阪に向かう列車の中でそう説明する寺尾君。こちらから聞いたわけでもないのに、行くところ行くところとにかく詳しく説明してくれる。しかし、この後寺尾君は極端に元気がなくなってしまった。不機嫌なわけではなかったけど、どうしてか元気がない。色々考えても原因がわからなかったので、そっとしておくことにした。どうにかしようにも原因が分からないのでは仕方がない。

 夜、寺尾君の自宅近くで食事をしてから、この日は彼の家に泊めてもらうことになった。寺尾君の自宅に入って会話していくなかで、どうにか元気のなかった理由を探り当てることができた。

 寺尾君からすると久しぶりに僕が遊びに来てくれたことがよほどに嬉しかったらしく、”ホストとしてもてなす”意気込みだったらしい。当日まであれこれプランをねって、この日の旅程になったものの、最後の京都観光まで終わったところで寺尾君としては、この旅程がどうしても納得できなかったらしい。”ホストとしてゲストをもてなしきれなかった”という思いから、落ち込んでしまったというのだ。

 もてなされた僕は納得も何も、寺尾君と一緒に遊べただけで非常に満足していたので正直びっくりした。長く付き合っている友人だけど、そんなに遊びに来たことが嬉しかったのかと、それ自体がありがたかった。そして申し訳なかった。

 僕としては1週間の旅行の中の1日、寺尾君と遊べるだけでも良かったのに、そこまで”もてなしてもらえる”とは思ってもなかったので、申し訳なくなってしまったのだ。


              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆              


 男女の違いを除けば性格がそっくりな高島さんと寺尾君。

 寺尾君とのこの出来事は、高島さんにも当てはまっていると思う。

 高島さんは彼女にとって嬉しいことをされると、それに応えるために僕の想像をはるかにこえる行動をしてしまう。想像をこえることをされる上に、一切説明することはないので、何をしているのか意味がわからない。

 僕が3回目の告白をしたことで高島さんはこうした行動をすることになる。

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