第47話 閑話<米国のテレビ番組>

 当時アメリカで。アジアの国々を紹介する番組の取材を受けることになった。取材スタッフの女性2人だけで、撮影に必要なスタッフは日本で雇用したのだという。

 真夏とはいえ朝5時の集合時刻はまだ暗かった。

 集まったシンキロウの男女スタッフ。ここでアメリカ人の監督から信じられない言葉を聞いた。

「ではこれから車で移動しますので、男性は車へどうぞ。女性は食事を作りますので、この先にある厨房にいきましょう。」

 男女平等の国だと思っていたのに、のっけから驚かされた。


(今日1日高島さんと一緒だと思っていたのに……)


 撮影は順調に行われていたものの、慣れない炎天下での撮影で僕は途中離脱して休憩させてもらうことになった。

 これまで日本のテレビ番組には何度も出演したことがあった。だから撮影現場はある程度は理解しているつもりだったけど、この日の撮影は日本とはひとつ異なる点があり、出演者をフォローするスタッフがいた。日本の番組では見たことが無い。

 横になって休んでいる僕に冷たい飲み物や冷たいタオルを提供してくれたり、バナナをいただいたりもした。思いのほか快適で驚いた。

 驚いたとえいば、撮影開始前には同意書らしき書類にもサインを求められた。アメリカらしいと感心したものの、同意書を英文で何を書いてあるのか全員が分からなかったため、それぞれ、それらしきところに住所と氏名を書いておいた。

 昼食時間になって高島さんら女性スタッフがやってきて食事をしたけど、この時のことはほぼ覚えていない。

 撮影後なぜか僕だけがアメリカ人監督と助監督に呼ばれて3人で写真撮影をさせてもらった。

 あまりに勝手のわからない撮影現場だったためか、高島さんとのことはほとんど思い出せない出来事になってしまった。

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