第34話 青ヶ島本島最大のお祭り<2220.08.16>_人人人
青ヶ島本島最大のお祭りをお隣の西青ヶ島県に見にいくことになった。
今回の参加者は僕と高島さんと植木代表ご家族の5人。
しかし、それにしても毎回毎回いったい誰がこうしたイベントの企画をしているのだろうか。僕は参加するだけで、そもそも誰が企画しているかについては1度も考えたことも、聞いたこともなかった。
今回の参加者は5人で僕を除くと4人。うちひとりは幼児だから、大人は3人。植木代表の奥様はそういうことを企画する性格ではないので、植木代表か高島さんが企画している人ということになる。
こうした類のイベントで最初のイベントだった昨年の5月の連休の旅行を除けば、高島さんは必ず僕と参加している。植木代表もほとんど参加しているものの、参加していないイベントもある。ということは、全てのイベントに共通しているのは高島さんだけということになる…………当時はこうしたことにも気が回っていなかった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
僕と高島さんは植木代表のご自宅に集まって、午後1時過ぎに植木代表宅を出発した。
目的地にはその日の夕方に着いた。みんなが初めてのことだったので、ここから先どうしていいのか誰にもわからず、まずは駐車場を探すところからはじめることにした。
あちこちに駐車場が用意されているものの、数が多過ぎて結局どこでとめるのが最適なのか検討がつかない。考えても答えがでるわけもなく、結局空いている駐車場を見つけて車を入れた。
車を降りて駐車場を出てはみたものの、どこに向かって歩けばいいのかは分からなかった。ただ、多くの人が同じ方向に歩いているので、その人の流れに乗ることにした。
この頃には既にお祭りも始まっており、テレビ中継もされていた。あちこちに警察官が立っており、お祭り会場に近づくほど、喧騒は次第にその度を増してきていた。あらゆる方向から人々がひとつの方向を目指して歩いており、歩けばあるくほど視界に入る人の数も多くなってきていた。
どこからか道幅のとても広い通りに入った。目視で20メートルほどの道幅だろうか。それでも道の端から端まで同じ方向に向かって歩く人々で満ちており、前後左右ともに少しでも歩き方を間違えると、人と接触しそうなほど密集もしていた。
歩いても歩いてもお祭り会場に辿り着きそうにはなく、一緒に歩いていた5人の間で会話はほとんどなくなってきていた。歩くことに精一杯なのと、どこまで歩けばいいのかという不安が大きくなってきていたからだった。また、想像以上に人が多いことにも面食らっていた。
幅の広い道に入ってからも、左に曲がり右に曲がりと、先が見通せない歩き方をしており、ここに来た目的すら忘れそうになるほど、歩くことに必死にならざるをえなくなってきていた。
僕の場合その身長から、このように人が密集していても遠くまで見通すことができものの、高島さんは前を歩く人の背中を見ながら歩くことになるので、こうした雑踏の受け止め方は違うのかもしれない。
いったいどれほど歩いたのだろうか。屋台の灯りが見えてきた。でも肝心のお祭りの中心がどこなのかまったくわからなかった。
屋台の並びまで来ると、歩き方も歩く方向も人の流れが一定しなくなった。
屋台は魅力的だったけど、兎にも角にも祭りの中心まで歩みを進めることにした。
そこからしばらく歩いたところで、左も右もその端がまったく見通せないほどの人の壁が出来ていた。
人の壁に辿り着いて壁の最後尾からその先頭に目をやると、想像以上に厚い壁になっていることがわかった。とても人を掻き分けて先頭にまで行けるように思えるような人の多さではなかった。
ここで立ち並ぶ人々の視線の先に、艶やかな衣装を纏った人々の踊りを見ることができた。
僕らはその場でしばらくお祭りを見学することに決めた。
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