第33話 閑話<僕の女性問題>

 当時そういう認識はまったくなかったものの、こうしてまとめてみると、結構女性とかかわるエピソードがあったのは自分のことながら驚いた。

 ここまでに登場した4人の女性以外のエピソードもあったので、まるごと全部高島さんが知っていたのだとしたら、ただでさえ嫉妬する女性なので、結構心配もしていたのかもしれない。そう考えると五井さんの時だけ特別な反応を示したのは、目の当たりにしたからなのだろうか。

 何人かの女性と僕との間にあった出来事といっても全て女性の側からのアプローチで、僕からしたことではなかったので、五井さんの問題とは次元が違ったのかもしれない。


              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆                          


 僕が女性から受けたアプローチのことを考えると僕の高島さんに対する態度は、本当に高島さんを想う気持ちがあるのかと疑われても仕方がないと今は思う。

 高島さんの僕に対する想いを”女心は分からない”と決めつけていたけど、むしろ分かりづらかったのは僕の高島さんに対する気持ちの方だったことになる。

 僕の高島さんに対する想いを女性に知られるのは一向に構わなかったし、その方がかえって問題が起きにくいだろうから都合がいいと思っていた。

 ただ、同性である独身男性の視線は高島さんに向けられていたので、新参者の僕にはそうした男性陣に配慮する気持ちが強かった。だから、表立って高島さんに態度で気持ちを示すことはなかったし、できなかった。

 こうした僕の態度が二人の関係を難しくしていた一因になっていたのかもしれない。


              ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆              


 この頃の高島さんの僕に向ける視線というか、眼差しは”やさしさ”というのか”慈愛に満ちた”というのか、そうした目をしていた。とにかく優しさや愛情を含んでいるように感じていた。

 感じてはいたものの、残念な僕は感じていただけそれを深く理解できずにいた。

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