第29話 避暑地の貸別荘へ<2220.07.22>_朝食
次の日の朝がやってきた。
男性陣はテレビを見ており、女性陣はキッチンで朝食の準備をしている。
(なんだかんだ、こういう朝はいいよなぁー……やっぱり…………)
昨夜の出来事ですっかり調子に乗っていた僕は、料理をしている女性陣の写真を撮ることにした。
(気のせいか高島さん張り切ってるなー……なんとなく女性らしさをアピールしているような…………昨日の夜、僕が”男らしく”と思って行動したのだから、さもありなんってところかなぁー…………普段は男らしいと思える振る舞いだけが際立っているから”台所で女性らしく振る舞っている高島さん”っていいなぁー……というより”違和感”の方が強いような……そうでもないような……うーんわからん……)
この時の高島さんの”女性らしい振る舞い”は普段と違いすぎてどう受け止めていいのかだいぶ困惑してい彼女の様子を観察していた。
この料理している高島さんを撮影した写真が残っている。台所で下を向きながら料理をしている高島さんだけを写した写真。でも視線だけは僕に向けている”貴重な証拠写真”。この時たまたまそうだったわけではなく、ふだんからそうしていたと考えるのが普通だと思う。高島さんはいつも僕のことを観察しているとは思っていたのだけど、それがハッキリわかるという意味で”貴重な証拠写真”ということになる。
この料理中の写真の別の1枚にうつる高島さんの写真が一番いい顔をしている。化粧をしているわけでなく、髪もといておらず、服装もあれだけど、でもいい顔している。
朝食は、高島さんに作ってもらった初めての手料理と言いたかったけど、誰が何を作ったのかわからないので、随分混乱してしまった。
おにぎりに至っては高島さんと長谷川さんとでつくったらしく、「これが私の」とふたりで指さしている写真が残っているが、どっちもどっちで識別できなかった。
今食べているのが高島さんが作ったのか、長谷川さんが作ったのか、植木代表夫人が作ったのか、どう思って食べていいのか複雑すぎて堪能できない。
(さっき「これが私の」とおにぎりを指さしたときに「いただきっ」てもらって食べればよかった。はぁーまたしても残念……)
幸せな時間は短い。
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