第30話 避暑地の貸別荘へ<2220.07.22>_高島さん激オコ②
朝食後、部屋の掃除して料金を精算した後に、近くの土産物屋(ここは観光地)に行くことになった。
どこからか、どうしてか土産物屋に着いた頃の僕と高島さんは、さきほどまでの打ち解けた感じから、極端によそよそしくなっていた。
急変した雰囲気の変化にただとまどうことしかできずに、カクカクとロボットのように土産物屋の店内を見てまわる僕。
(き・緊張するな。なんかおかしぃーなー、何かしてしまったのだろうか? 逆に何かしなければいけなかったのかなぁー?……わからん……)
当時はただ戸惑うばかりで、高島さんの気持ちの変化を理解してあげることができずにいた。
今にして思うと、土産物屋での高島さんは寂しくて仕方なかったのだと思う。
ここは僕らの住む町と高島さんの住む町のほぼ中間地点。これから高島さんは僕らとは逆の方向にひとりで帰らないといけない。
別荘で過ごした時間があまりに幸せな時間だったため、これから一人になるのが寂し過ぎたのだと思う。
別荘ではどうしてか僕に積極的だった高島さん。この別荘での僕の何かが高島さんの気持ちを高めてしまったのかもしれない。
今、目の前にいる高島さんは”怒っている”ように振る舞っている。高島さんが嬉しい時の振る舞い方だけど、当時の僕はそれを知らない。
嬉しくて幸せだった時間が終わり、まもなくひとりだけ先に帰宅の途に就く。その嬉しさと寂しさの気持ちが”怒っている”かのような振る舞いになってしまっている。
女心なのか、単に高島さん特有なことなのかは分からない。
僕がこの時に高島さんに対して思った「何かしてしまったのだろうか?」とは、単純に高島さんが怒っているから、怒らせるような何かをしてしまったのだろうと思っていた。
また「逆に何かしなければいけなかったのかなぁー?」とは、キスして欲しい時にそうしなかったから怒らせてしまったのかと思ってもいた。
高島さんに対して強引に何かするというのは彼女も望んでいないとばかり思っていたから、だからそうしたことを一切しよう思ったこともなかったし、実際強引なことをしたことはなかった。でも違ったのかもしれない。
高島さんは女性の中でも特段気持ちの分かりにくい女性だと思っていたけど、こうして冷静に振り返ってみると案外分かりやすい部分もあったのだと思う。むしろ高島さんからすると僕の方がわかりにくい人だったのだと思う。
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