第7話 高島さんの希望を勘違い
高島さんの最初の勤務地が僕らの住む
転勤した先の
高島さんの星野区での配属期間は上限に達していたので、転勤になること自体は仕方ないことだったし、むしろ期間の上限になる前に転勤されていたら、そもそも僕は高島さんと出会うことすらなかったのだから、その点は幸運だった。
星野区から最も遠い青野区に転勤となったのは、高島さんの意思とは無関係であると、疑ったことなどなかった。
しかし事実は異なっていた。
最近になって、知り合いの女性で高島さんと同じ立場にあった元公務員の女性に聞いたお話によると事実は違っていた。
転勤先である勤務地(区単位)は本人の希望がかなり優先されると聞かされた。区内の具体的な配属先がどこになるのかは、本人の希望はあまり通らないようだったのだけど、勤務地(区単位)は優先されるというお話には正直驚いた。あまりのことで何度か聞き方を変えたものの答えは同じだった。
これはつまり、勤務地を片道車で3時間もかかるような青野区と希望したのは高島さんの意思であって、でもそれは、星野区で築いた人間関係をリセットすることに他ならないのではないだろうか。そうしたいと高島さんが考えたと思うのに無理はないはずだ。
だとすると、何故高島さんは転勤後もシンキロウで活動を継続したのだろうか。
高島さんの転勤に合わせるかのように
これまで知り得た話では、勤務地・配属先の希望は前の年の年末らしい。高島さんの転勤は2219年3月なので、希望を提出したのが2218年の暮れということになる。この希望後の高島さんにとっての変数は僕だけになる。
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