第58話  Imitation of GOD

〜〜【リンクマインド】〜〜

相手の思考の中に入り込み、会話や行動ができる。

その際、現実では動くことができない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


……。

頭痛は引いていき、私たちは戦闘態勢に入る。

「ふふ、思ってたよりレベルの差ってのは重要みたいだよ」

意味深に笑いながら、アデルはこちらに向かって走り出す。


「今、仲間にしたみんなの統率をとる!隙ができたときにみんなは一気に攻めて!」

申し訳ないけど、今あなたたちに名前を与えている余裕はないの。許してほしい。

数十、数百を超える魔物を一気にアデルの元へと向かわせる。


「≪飲み込み≫」

突如アデルの体が溶け出し、迫りくる数体の魔物を飲み込み、元の形に戻る。

「おいおいおい……思ってたよりやばそうだぞ。なんつー能力あげてるんだあの神様」

レオンが冷や汗をかいている。


地を蹴り、バリストさんは飛び上がる。

「【インフィニットシーケンスウェポン】」

次々に降り注ぐ武器をアデルに向かって投げつけながら、迫る。

「≪ドラゴンフィスト≫≪奪い取る≫」

アデルはすべての武器を躱したうえで、バリストさんを殴り飛ばす。さらに、その大剣を奪い取る。


「嘘じゃろ……なんじゃあやつ」

「【レイニングフード】」

武器の次は食べ物が落ちてくる。

デリスがその一つを食べると、その体を光が纏う。

「なるほど、これが新しいアビリティか」


「≪隠れる≫≪不意打ち≫」

アデルは大量に襲い掛かる魔物の群れに自ら進んで行くと同時に姿が消える。

「おいどこだ?」

プラントの準備をしていたレオンは手を構えるのをやめ、周囲を見渡す。


その瞬間に、レオンが空高くに打ち上げられる。

「≪飛行≫≪火炎玉≫」

追い打ちするかのように空高く飛び上がり、落下をし始めようとするレオンに追撃を放つ。


「ボス!レオンを助けて!!」

急いでボスを送り出す。

「≪嘴殺≫」

ボスに気づいたアデルは狙いをボスに変え、急降下して攻撃しようとしている。


「……っ!ボス!!」

ボスはアデルに向かって翼を広げて、羽を飛ばしたかと思うと、一気にこちらに戻ってくる。

「い、今のは?」


ボスはピュロロと小さく鳴き、誇らしげな顔をしている。

/////

〔ボス〕

種類︰アウィス

特技︰嘴殺 飛行 羽刃

心︰100%

/////


「≪高速移動≫」

アデルはすぐに態勢を立て直し、稲妻のように即座に地面に降りてくる。

「よくもやってくれたなぁ!!」

レオンは落ちてきたところを幽霊にキャッチされ、抱えられながらそんなことを言っている。


「≪突進≫」

「やべっ!【プラント】」

アデルがイノーのようにレオンに向かって突撃していくが、その行く手を木に阻まれて激突する。


「今だ!!」

「……え、えっとみんなアデルを抑えて!!」

霊子は幽霊に急いで指示をして、援護する。


「【パラサイト】」

「【サモン・火吹き激辛カレー】」

レオン、デリス、バリストさんが一気に攻撃し、後を追うように大量の魔物が攻撃する。


直後、風を切る音とともに数十体の魔物が斬られた。

「ふー……久しぶりにこれで魔物を斬った……」

「危なすぎるって」

デリスはすぐによけ、愚痴りながらまた攻撃を開始する。


「≪瞬歩≫」

「っ!!」

突然私の目の前にアデルがやってくる。避けられな――


「え、えりゃー!!」

斬りかかろうとするアデルに霊子が横からタックルし、剣は私の頬をかする。

「ありがとう、霊子」

「え、あ、よかった……」


アデルはバックステップですぐに態勢を戻し、こちらに一切の油断を許さない。

「【テイム】≪熱波≫」

アデルから紐が現れ、数十体の魔物をとらえ、近くに引き寄せる。

引き寄せられた魔物たちはもだえ苦しみながら肌にひびができていく。


「≪高速移動≫【テイム】」

衰弱した魔物たちを置いて、駆け出す。

目で追えないほどの速さで進み、その目指す先は――

「おーちゃん!!」

気づいたときにはもう遅い。紐にからめとられ、剣で斬られる。


背中に大きな傷を受けておーちゃんは倒れる。

「おいヒカリ!!危ないぞ!!」

レオンが叫ぶが、今はおーちゃんの回復を優先しなければ……

「【マーシフルエンブレイス】」


「あなたの弱いところはそういうところだよ」

すぐ隣にアデルが現れる。

「【プラント】」

アデルのいた場所に木が生える。


押し上げられた彼女は宙を浮いている。

「≪飛行≫≪硬化≫≪頭突き≫」

一気に急降下し、次はレオンを狙う。

「ビーチュー!!」


急いでそちらにビーチューを向かわせる。

レオンはアデルの来るすんでのところで避け、落下したアデルには隙が生じる。

その瞬間にビーチューが毒針で傷をつける。

「≪牙刺し≫」

突如かかと部分に鋭利なこぶが作られ、ビーチューを刺す。


「【コンライン】」

おーちゃんを中に入れ、急いでビーチューの方に駆け寄る。

きっとまた私を狙ってくるだろう。

ビーチューにたどり着くも、すぐにアデルがこちらに剣をふるおうとする。


しかしこれは予想通りだ。

さすがにさっきので対策を考えた。

横からイノーが突進し、剣を振り上げていたアデルを吹き飛ばす。

「【チェンジフード】」


好機を探っていたのか、デリスが落下地点付近の地面をケーキにする。

アデルは生クリームが飛び散らせながら、落下して沼のように沈み続ける。

「【イッツアウェポン】」

先ほどの木から枝を折っていたバリストさんがアデルの元へと向かう。


「≪突風≫」

突如として暴風が襲い掛かる。

数mは吹き飛んだが、依然として風は強く、このままでは飛ばされ続ける。

魔物はすでに数十m吹き飛んでおり、中にはもう死んでしまっているものもいる。

イノーたちは吹き飛んだその先でプルブルにキャッチされている。


「【セルフリバイバル】!!」

レオンがそう叫ぶとメキメキという音とともに足が硬化し、木のような見た目に変化する。

「いてぇなこれ……おい、みんな!俺につかまれ」


アデルには誰も近づけず、地を這って何とか耐えながら、慎重に移動してレオンにつかまる。

地面が少しずつ隆起していく。私、霊子に続き、デリスとバリストさんもレオンにつかまる。


「っ……このままじゃ持たない。仕方ないか……【パラサイト】」

レオンの足元の木の部分からツタが伸び、レオンを包みだす。

それだけではなく、耳や鼻から体内に侵食していく。

プチリと嫌な音を立てながら、左目からツタの先が顔を出して、停止する。


「レオン!!」

「……っは、はは……とりあえずこれで吹き飛ぶことはないぜ」

左目の部分から血が垂れる。

まだ、風は強い。


「≪かまいたち≫」

アデルがそういうと同時に、自分の体のいたるところに切り傷ができ始める。

「やばいよ、早く何とかしないと」

デリスができるだけ傷を受けないように腕でガードしながらこちらに話しかけてくる。


「……私、やってみる」

この状況を打破できる可能性は一つしかない。

たった一つの希望にかけるしかない。


「【リンクマインド】」


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