第16話 "元"初心者向けダンジョンが牙をむく
「ぐっ!」
大蜘蛛の脚で薙ぎ払われ、壁に叩きつけられる。
体勢を立て直そう。
デリスはなにしてるんだ?視線を向けると大蜘蛛の正面に立っていた。
「【サモン・コーヒー】!!熱々を喰らいなっ!」
あー。そういう感じに戦うのか。
シィィィィギィィァァ
大蜘蛛の脚がデリスのいた場所に突き刺さる。
デリスは寸前に回避し、次の攻撃に転じようとしている。
「ボス、頼んだ!」
合図をするとボスは飛び上がり、大きく羽を広げる。
ピューヒョロロロ
狭いダンジョンであるが、神速とも思えるスピードで大蜘蛛に突撃する。
攻撃されるよりも早く脚をもぐ。右脚3本を一気に刈り取る。
これが死神鳥と呼ばれる所以か。
カチン カチン
大蜘蛛が顎で威嚇し、攻撃の激しさが増してくる。
イノーとプルブルにも準備をしてもらおう。
大蜘蛛は残った脚を広げ、こちらに攻撃を仕掛けようとしている。
今だ!
イノーが走り出す、突進だ。
右脚を3本失った不安定な状態で脚を上げた大蜘蛛の中心に勢いよくぶつかる。体勢を崩した大蜘蛛はイノーと共にひっくり返る。
ピギュッ
ひっくり返ったときに攻撃されたのかイノーが悲鳴をあげる。
ごめんねイノー、少し我慢してて。
次はプルブルの出番だ。
ひっくり返ったプルブルは大蜘蛛の顔に張り付く。
このまま窒息させれば何とかなる。
「なっ!」
大蜘蛛が何をしたのかわからないが、急速にプルブルの色が紫色に変化する。もしかしてこいつ毒蜘蛛か?
「ヒカリ、イノーとプルブルを大蜘蛛から離してくれ」
デリスが叫び、私は急いで2匹のもとへ駆け寄る。
少しぐったりとしているイノーとプルブルを連れ、大蜘蛛から離れた。
よく見ると、イノーの背中に嚙まれた跡がある。
ここから毒が入ったのか。
「【サモン・ウェディングケーキ】!!」
デリスがそう叫ぶとどこからともなく大きなケーキが大蜘蛛の頭上に出現する。
重さで潰す気なのかな。
「【サモン・ウェディングケーキ】!!」
現在5個目のウェディングケーキ。
最初の方は抵抗していた大蜘蛛も起き上がれない上少しずつ重くなってきたのか暴れなくなり、ウェディングケーキが10個乗ったあたりでピクリとも動かなくなった。
「なんとかなったな~。イノーとプルブルは大丈夫か?」
イノー達は顔色が悪く、かなり毒が回ってしまったそうだ。
「だいぶやばそうだよ。一回回復師を呼びに町に戻る?」
「いや、さすがにかわいそうじゃないか?毒に効く漢方を作ってやるから待ってな」
デリスは大蜘蛛の牙に触れ、ぺろりと舐めた。
「何してるのデリス!?」
「うん、ピリピリするな…酸性か」
私のいうことに耳を貸さず、スパイスを出しながら潰して混ぜている。
本当に何なんだこの人。
「ほれ、できたぞい」
デリスの作った漢方を飲むと2匹はみるみる顔色がよくなっていった。
デリスも漢方を飲んで、すぐに話を切り替える……デリスすごい。
「ヒカリ、3つ道があるけどどうする?」
切り替えの速さに圧倒されたけど……そうだ、レオン探さなきゃ。
「うーん……痕跡とかないし本当に分からないね」
「かなり体力を消耗してるし、俺もそろそろ魔力がないから食べ物を作れなくなる。一回ここらへんで野宿しないか?」
レオンのことを考えるとすぐにでも探しに行くべきなんだろうけど、思ってた以上にこの洞窟は危険度が高いから万全の状態で行かなくては返り討ちにあって共倒れかもしれない。
申し訳ないけど、ここは休もう。
「野宿用のテントは?」
「リュックサックに入れてきたぞ」
◇◇
◇◇◇◇
「おいおいおい!どこまで行く気だよ」
ヒカリたちとはぐれて数分。俺は今、高速で闇の中に引きづりこまれている。
やばいな、これは。なんとかしてこのツタを切らなければ。
「【プラント】!」
進行方向の闇の中に向かって闇雲に木を生やす。
ツタの真下に生やすことも進路の妨害として利用することもできず、ツタはぐんぐんと進む。
一か八かだが……仕方がない。
「【プラント】!!!」
狙いは確実にツタが狙える…自身の真上、天井から木を生やす。
衝撃が体を襲う。
木に押され、俺は地面に落下した。
「いたた……」
ツタを警戒し、急いで起き上がる。
自身の体を見てみるが、特に異常なところはない。
そして、ツタも一切巻きついていない!
どうやら成功したようだ、でも浮かれている場合じゃない。
ツタが出てきたこの道を塞いでおかないと。
「【プラント】【プラント】【プラント】」
ふぅ、ざっとこんなもんか。
びっしりと木を生やし、ほとんど先が見えないほど隙間なく木を敷き詰めた。
ツタが進んできたと思われる方向へと戻っているが、巻きつかれていたときはそこまで見ることができなかったから実質勘だ。
「なんとかしてヒカリ達と合流しないと……」
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