第15話 コテン洞窟、ふたたび。

「いくぞー!!!」

翌朝、私たちはデリスのお手並み拝見もかねて新たな依頼を受けることにした。

資金に余裕はあるからダラダラしていてもいいんだけどね。


==依頼==

家に泥棒に入られた!

泥棒を討伐してください。

足跡からして魔物です。コテン洞窟の方向に逃げました。

足跡の絵は依頼受理したらギルドの人からもらってください。

報酬は1万オルド

======


「とりあえず足跡の絵はもらったけどさ」

「俺らって魔物とか動物とかの足跡知らないんだよね」

とんだ無能パーティーである。デリスも後ろから絵を覗き込む。


「俺も知らないな、美味いやつのことなら知ってるんだが……とりあえず朝飯のパンどうぞ」

両手に持っていた大きめのパンをそれぞれに渡してくる。一口頬張ると焼きたてで中々美味い。


「じゃあとりあえず目指すはコテン洞窟……でいいよね」

朝はギルドにも人が少なく、ゆっくり準備をしてのんびりみんなで移動を始めた。

ついでに、イノーやボス用のご飯もデリスに用意してもらった。


草原は空気が澄んでいて心地が良い。

今日は天気もいいし、スライムとかファーシープとか変なものが湧いてこない草原があればピクニックでもしたかったな。


草原のその先に私たちの生まれ故郷の村も見える。

まだ説明のために帰ったりしていない。

面倒くさいことを後回しにしているだけだ。


「おいおいおい……」

しばらくすると少し前を歩いていたレオンが歩みを止め、驚いている。

なんかあったのかな。


「レオン、どうしたの?」

「こっちに来て、あれを見てくれ……どうしようか」

頭を抱えてブツブツと何かを言っている。


私とデリスは駆け寄って、その視線の先に目を向ける。

レオンの見ている先、そこにコテン洞窟の姿はなかった。

「うそでしょ」

思わず声を漏らしてしまうほどにその光景は衝撃的だった。


あったのは大木。天を貫くほど巨大な大木。

空を支える柱のように見えるほど太く、巨大である。

地面の方には大きな穴が開き、かつてのコテン洞窟の姿はなかった。

「ねぇこれって――」


どう考えてもあの時レオンがやったプラントだ。あの時が初めてプラントを発動させているからきっと調整を間違えたんだろう。

これどうギルドに報告しようか。


「すごぉ!でっけぇなぁ!」

目を輝かせているデリスは状況が理解できてないからあり得ないほど巨大な大木に興奮している、ほっとこう。


とりあえず近づいてどうなってるか調べよう。もしかしたら木が生えただけでそれ以外の異常はないかもしれないんだ。

「おい2人ともー!ここすごいぞ!」

いつの間にそこまで行ったんだ。


デリスの元へ先に駆け寄ったレオンがさらにどんよりとしている。

あぁ、なんかやばそう。


恐る恐る近づくと、大木の根とダンジョンが融合しており、地下深くまで穴が続いていることが分かる。

大木の周りや中は何かしらの動物によって加工されたのか上まで登っていける。

これはすごい……自分たちのせいじゃなかったら感動してたほどのものだ。


これもう初級用ダンジョンじゃなくなったな……多分。

この広大な迷宮の中から足跡の主を探さなきゃいけないのかぁ。

「とりあえず降りてみよう。俺が先頭を行く」


さすがに責任感を感じたのか、レオンが先陣を切って降りる。

レオンがいつも背負っている革袋からロープを取り出す。

何でも入ってるなそれ……。


ロープを近くの木に結び、中へと降りていく。

あのスライムの大群とかも消えたのかどうか。

「うそでしょ」


確かにスライムはいた。

ただ、あの時のスライムの大群なんかじゃない。

超巨大なスライム、なんか燃えてるスライム、見た目が怖いスライム――


探していたらきりがない、今のコテン洞窟はヤバイかもしれない。

「そろそろ地面につくぞ」

初級用ダンジョン跡と思われる床に私たちは降りた。


四方八方に道が伸びており、地面から木の根っこが石造りの床を押しのけながら隆起している。

レオンは適当な道をのぞき込んでいる。

「レオン、どこから行く?」


「こっちにいk」

私の質問に答えるために道の先の暗闇に目を背けた瞬間、暗闇からツタのようなものが伸びて、レオンに巻きつく。


「えっ?おい、待て待て待て」

レオンは何が起きているのか理解できないらしく、混乱している。

「ボス、あのツタに攻撃を!」

慌ててボスに指示を出し、ボスがとびかかろうとするが届かない。


ツタはすぐ、レオンは闇の中に引きずり込んだ。

「ヒカリ、追った方がいいと思う!」

デリスが急いでその道へと駆け込む。結構走れるんだな、あいつ。


「うおぉぉ!」

デリスが目の前で尻餅をついた。「なんかあった!?」

「蜘蛛がいるっ、でっかいのが」

ツタは奥の方へと消え、手前には立ちふさがるように大きな蜘蛛が暗がりに潜んでいる。

細長い足が1本、また1本とこちらに近づいてくる。


おいおい、聞いてないよ。

自分たちの身長を圧倒する大きさの蜘蛛が暗闇から顔を出す。

どうやって倒すか……。


#####

カモさんです!

よかったらハートとフォローお願いします!

気軽にコメントもどうぞ!


Twitterのほうも良ければフォローお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る