第13話 自信のつけ方

「頑張れ頑張れできるできる絶対やれる!!」

「あっ、むっ無理です…こんなのできないです……」

白髪の美人、名前はアイリスというらしい。


現在、私は筋トレをしているアイリスを見ている。

どうしてこんなことになったのか。思いついたのは自分だが、よく分からない。


アイリスに必要なのは自信だと思う。

それを彼女にそのまま伝えてもきっと真に受けてくれないだろう。

ならば、自信がつくようなことをやらせてしまえばいいのでは!?というのが自分の考え、今考えてもひどい提案だ。


「まだまだいけるよー!!あと10回!」

汗を滴らせながら彼女は現在腕立て伏せをしている。

その顔は美人とはかけ離れた苦悶の表情だ。


外ではレオンたちがいい感じに降り積もった雪で雪合戦をやっている。

アニマル組はボスが吹雪を起こして相手の妨害をし、イノーが自分の頭を地面に這わせて雪を集め、プルブルが丸めて投げている、我が相棒ながら素晴らしい連携だ。


__

____

2時間ぐらい経っただろうか。

アイリスは筋肉痛に悶えていた。

「ヒカリさん、もう無理ですぅ!!これで何の成果が得られるんですか……?」


「成果が早速現れてるじゃん!声のどもりがなくなってるよ」

「あっ本当だ……ヒカリさんと仲良くなったからですかね」

「それだけじゃない、今努力した自分に自信を持ち始めてるんだよ」


最初に会ったときより確実に自信を持ってる。

ちゃんと私のこと見てるし、猫背も少し治っている。

「もっと自分の力に自信を持っていい、この山の吹雪だって操れる。しかも年中雪が降る山だって観光地にもなっているから被害は出ていないよ、多分」

私たちは死にかけたけどね……とはさすがに言わないことにした。


「そうだったんですか!?てっきり周りにはもうだれも住んでなくて人っ子一人いないかと」

アイリスは少し嬉しそうにこっちに笑顔を向けてくる。


「筋トレとかを毎日続ければきっと自分にもっと自信がつくよ!頑張って」

「分かりました!ところで、そもそもどうしてこの山に来たんですか?」

あっ、完全に忘れてた。このままじゃお金が……


「なんかまずいことを聞いてしまいましたか?汗がダラダラですけど」

アイリスは私の顔を覗き込んでくる。

どうしよう、あいつらはまだ雪合戦中だ。

「アイリス、あのさ……凍月草って知ってる?」


__

____

「ここです、半分ぐらいだったら持っていっていいですよ!」

ここはアイリスの家の地下、見渡すは一面の凍月草。

ざっと見ても100本を超えているだろうと思われる数ほどある。


凍月草を作っているのはアイリスらしく、昔はかき氷のトッピングとして上にのせていたらしい。

トッピングの中でも凍月草はお気に入りで今でも作るのをやめられないんだとか。


お言葉に甘えて少しもらっていこう。

8本ほど取り、5本を髪飾りとして加工してもらい、他はそのままもらうことにした。


「本当にありがとう、アイリス」

「いえいえ!本当にありがとうございました!また来てくださいね」

とてつもなく明るい笑顔。かわいいなこの子。


家から出ると一面の雪原が広がっている。

ただし、雪原の先に白い壁はない。吹雪がやんだのだろう。

「って……おい」


せっかくいい雰囲気だったのに。

「なんでまだ雪合戦やってるんだ」

「おかえりヒカリ!ヒカリもやろうぜ」


冷てっ、誰だ今雪玉投げたやつ。

プルブルじゃん!!お前ー!!

「許さないぞー!これでもくらえー」


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=依頼達成=

報酬:10万オルド +ギルドポイント5点

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「お疲れ様でした、よかったですね」


受付嬢のお姉さん、いい性格してるよホント。

前回の比にならないほどいい報酬だ。

命がけの甲斐があった。


どうやら、凍月草はアイリスの家にしかない上、凄まじい吹雪だったため、遭難していた6日間はほとんどの人が山に入らなかったらしい。

おかげで私たちは依頼を達成することができた。


残った3本の凍月草は花屋のおじさんにあげて、栽培を始めてもらった。

本来は存在しない品種で、栽培はかなり難しいらしい。

髪飾りのうちの1つはおじさんの入院している奥さんへのプレゼントとして渡してもらった。


それ以外の3つの髪飾りはボス、イノー、私で付けた。

この髪飾りをつけたとき、自分の中から湧き上がる魔力の量が増えた気がした。

冒険職なら多分ステータスを確認してその効果を実感できるんだろうけど、分からない。


そんなことよりも――

「なんでデリスがいるの?」

目の前で相変わらず色んなものを生み出しては食べている。なんでいるんだ。


「俺がうちのパーティーメンバーにどうかって誘ったんだ」

パーティーメンバーか、2人だと死にかけることもたびたびあったから頼もしいかもしれない。デリスは食糧調達もできそうだし、ちょうどいいかもしれない。


「じゃあ改めて自己紹介させてもらうよ!俺の名前はブード・デリス。フードイーターだぜ」

デリスの職業はフードイーターか……フードイーターってなんだ?まぁニュアンス的にフードファイター的なものなのだろうか。


「私たちは自己紹介してなかったね。私は手川ヒカリ、アニマルテイマーだよ。んでこいつはフォレス・レオン、職はプランテーション」


「レオンの名前は聞いたけどな、雪合戦で」

「まぁ改めてだ!お互いよろしくな!」

男2人は熱い握手を交わしている。


その後、こちらに向き直ってこちらにも握手を求める。

「飯の調達は任せてくれ!!」

「よろしくね」


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