第4話 冒険者になるには
「過去に前例のないことです。正気ですか?」
受付嬢が冷徹に言葉を返す。
ここは冒険者ギルド、綺麗に整頓された棚や依頼の紙が貼られたボードがあり、体格のいい冒険者たちがそれらに群がっている。
思っていたよりも近代的な作りをしており、ギルドの内部はシンプルで清潔感のある空間。
ただ……あまり今は周辺を見ている場合ではないな。
「そもそもとして冒険者ギルドは冒険職の連合です。あなたたちのような生産職の人は生産職の連合、生産者ギルドに加入してください。」
さらに追い打ちをかけられてしまう。この受付嬢が言ってることはごもっともだよ。
「それとも転職を――」
「あの」
今まで黙りこくっていたが、流石に何か言わないと許可してくれないか。
「私たちはつい先日職をもらったばかりで転職はきっと出来ません。それに私たちは生産職ですが、戦うことができます。実際、先ほどコテン洞窟を攻略してきました」
渋い顔をしている、ホントすいません。
「少しギルド長と話してきます」
受付の奥にあるスタッフルームへと入っていく。
「レオン、断られたらどうしよう……」
「そんときゃその時に考えればいいだろ、今は結果を楽しみにしようぜ」
ガチャリ
扉が開いた。どちらともいえないような表情で受付嬢がこちらへ向かってくる。
緊張の一瞬だ。どうだったんだろうか。
「あなたたちに今ギルドに届いている依頼を1つ渡します。それを解決してきてください。それの成果で判断します。勿論、解決した場合は報酬もお出しします」
いいぞいいぞ!これこそ冒険者って感じだ。
「ありがとうございます!!」
私たちは綺麗に揃ってお辞儀をし、喜びを分かち合う。
冒険者になることができるかもしれない可能性ができたんだ!
「行こうレオン。イノーも外で待ってるし」
「楽しくなってきたな!ちょっと先行ってるわ!」
走ってった。おい、協調性重視してよ。
冒険者ギルドの受付から紙切れを1枚貰い、外へと出る。
出ていくときになんとなく中からヒソヒソ声と嘲笑が聞こえた気がするが……。
まぁいいか。
==依頼==
花栽培をしている土地に変な動物が最近花を荒らしに来ていて困っています!
なんとか退治していただけませんか。
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「とりあえず俺冒険の荷物持ってくる」
外に出るや否やレオンがそわそわしている。
「冒険の荷物?」
「テント、松明、タオル、寝袋、非常用食料、じょうろ、ロープ……」
「いらないいらない。そんなにあっても困るだけだよ」
◇◇
◇◇◇◇
「なんだあいつ」
「おい行くぞーバリストー」
大剣に大きな背丈、黒髪のムキムキ大男が呼んでおる。パーティーメンバーの黒影じゃな。
「ハイハイ」
仕方がないの。あやつら儂がいなかったら何にもできないんじゃから……。
よっこらせとイスを降り、黒影の元へ歩く。
「儂に指図するとは偉い身分になったのー。……次やったら許さんぞ!」
「へいへい」
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