第2話 発想力の勝利

さて……やってやろう。

これで私でもきっと冒険者になれる。私は今、草原にいる。

家から数十分歩いたところにある場所で魔物が現れることを除けば、最高のピクニックスポットだ。

昨日のレオンの発言で私が冒険者となる方法を思いついてしまった。


私が狙うのは…テストがてら近くにいるイノシシ。

キバが立派で茶色の体、豚のような鼻がチャーミングな子だ。

イノシシは冒険者からしたら弱小動物だが、一般人から見るとスライムなどの弱い魔物より脅威であり、死人が出ることもある。


「おーい!イノシシくーん」

挑発気味に叫ぶとこちらに気づき、突進をしかけようとしてくる。

正面で構えるが、少々怖い。


その距離30m…20m…10m…今だ!

「【テイム】!!!」

マナが塊となり、透明な紐が作られる。その後、対象のイノシシへ飛んでいき…恐るべき速さでその体に巻き付く。


「あぁ…結構体力消費するなぁ…」

マナ…魔力という体内に宿るエネルギーをそのまま体外に放出し、形作るもの。

冒険職の場合、魔力を魔法というものに体内で変換してから放出する……要するに、生産職の使うマナは効率が悪い。


それはさておき、初めて能力を使って体が馴染んてきたのか力が湧いてくる。それと同時に吐き気や頭痛にも襲われる。

その瞬間、脳内に情報が流れる――


〜〜【フェロー】〜〜

対象の動きを封じたとき、仲間にすることができる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


これが職業説明パンフレットに書かれていたレベルアップってやつなのか。すごい、めっちゃ気持ち悪い。

脳内がイジられてる感覚、吐きそう。慣れるまで時間かかりそうね、これ。


しばらくテイムされて暴れているイノシシの隣で座りこんで休憩する。

ふぅ…慣れてきた。

とりあえず大成功みたいだ!副産物として【フェロー】というものも手に入れたし、使ってみるか……。


「【フェロー】」

イノシシに手をかざし、そう唱えると光がイノシシを包み込む。

しばらくすると光は消え、イノシシを見ると…


/////

〔名付けをしてください〕

種類︰イノシシ

特技︰突進

心︰1%

/////


「おおおおお!!!!」

すごいな、興奮して声に出してしまった。

心はよく分からないけど。これが冒険職が見ることのできるステータスってやつか。

自分のは見れないけどフェローした仲間のものは見ることができるのか。


名前、名前かぁ…。

隣にちょこんと座ったイノシシは愛くるしい瞳でこちらを見つめる。

さっきと全然違うじゃん!大暴れしていた君はどこへ行ったんだ。


そっとイノシシの上に手を置き……

「イノー」

自分の皆無ネーミングセンスに引きつつも、はっきりと言う。


またもやイノシシのイノーは光に包まれる。

これが…これが私の冒険の始まりになるのかな、と思いつつ光が消えるのを待っていた。


#####

カモさんです!

よかったらハートとフォローお願いします!

気軽にコメントもどうぞ!


Twitterのほうも良ければフォローお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る