北の戦場③
一方、
第一師団長のジークと第十二師団副官のヨアン・ギュンターである。
既に幾度か襲撃があったのか、彼らの足元には逢魔の肉片が散らばっていた。
「ジーク師団長。上は大丈夫ですかね」
ヨアンは不安げに頭上の水の膜を見上げる。
「ザーフィア殿もいるから大丈夫だとは思うけど、
「勉強不足で申し訳ないですが、
「それは大丈夫だよ。
「その代わりに敵も自由に往来できるということですね…」
ヨアンはジークの説明を受けすぐさま仕組みを理解する。
「とにかく後はリーナ師団長とアイナ師団長、あと…クロムくんに任せて我々はここを死守するよ」
ジークがそう言い終えると、
「おや、たった三人で大丈夫かい?」
ジークは
「マー・サーリンを倒したのはどいつだ!」
三体の内、真ん中に立つ朱色の紋様が額に刻まれた
「それは私だよ。君は?」
ジークはロングソードを構え返答する。
「私はマー・サーリンの息子のマー・オルカスだ。父の仇を討たせてもらう」
マー・オルカスがそう告げると加護領域の周辺に何十匹もの逢魔が押し寄せてきた。
「まずい、このままじゃ
「御意」
ヨアンの体に黒い
およそ50匹もの逢魔がなだれ込んできた。
“アイギスの盾”
ジークがロングソードを地面に突き立てると盾の紋様が刻まれた巨大な魔法陣が宙に浮かび上がり。
数多の逢魔を
しかし、二人の
「ぐっ…バカな…」
二人のマーマンの腕は
ジークの足元から伸びる影から二本の黒い槍が飛び出し二人の
そして、身動きの取れなくなった
「まずは一人」
ヨアンは脱力し地面に倒れ込む。
「くっ…」
ジークは逢魔の軍勢を抑えるためロングソードにマナを注ぎ込んでいるため身動きが取れずにいた。
「こうもあっさり英雄の一角が落ちるとは。拍子抜けだな」
マー・オルカスはジークの背後からゆっくりと歩み寄り、硬化した右腕を振り上げる。
直後、マー・オルカスは何かを察したのか横に飛び退く。次の瞬間、マー・オルカスの立っていた位置に黒い軌跡が通り抜ける。
ジークが見るとヨアンが手刀を振り抜いていた。
マー・オルカスも完全には避けきれず。右腕を切り落とされる。
「ヨアン副官。私は身動きが取れない。マー・オルカスはあなたに任せます」
「御意に」
ヨアンとマー・オルカスが対峙する。
「せっかく、配置されてる兵の情報を得てるのに無策で私が攻める訳が無かろうて」
マー・オルカスがそう告げると、再び
「ジーク師団長!」
ジークはここである二択を迫られていた。
一つ目は、このまま
この場合は領域外の逢魔が
二つ目は、
この場合、いつでもに
「ヨアン副官…私も攻勢に転じます」
これは、ジークが前者を選択したことを意味する。
その一言でヨアンはジークの意図を理解し、
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