逢魔が刻①
「では、お集まりの皆さん。
アイナの号令で各面々は頷く。
「地理に疎い方もいると思うので状況を説明するね」
アイナはそう言って埃を被っていた机上に
「エウリオ軍の侵攻で、フェリン帝国の領土は
アイナは自信満々に答える。
その後の説明で
まず、
陸地と繋がる
実質、
「とりあえず
リーナ師団長が補足を入れる。
「ちなみに先ほど
アイナがそう言ってため息をつく。
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星が巡り朝を迎える。
本日は初の防衛任務だ。
リーナ師団長に連れられ俺とアミーラ、ルイスは
「これが…
「そっか、クロムくんは
前方に筒状に水の空洞が伸びている。
そして、その先端は暗い海に呑まれていて視界が不明瞭だ。
…しばらく進むと暗い海で何かが蠢いた気がした。
「あの…リーナ師団長…なんかいるんだけど…」
「ああ、おそらく
「逢魔ってどんな見た目なんですか…それに他の兵士たちは同行しないんですか?」
「そうだな、口で説明するのは難しい、とりあえず海に棲む化け物と思ってくれればいい。それと、一般兵が逢魔を倒そうと思ったら一匹あたり百の兵士が必要だ。それも最下級の逢魔での話しだ」
リーナ師団長の説明と合わせてアミーラが続けて話す。
「多くの兵を失うと今後に響くから、逢魔は副官以上が対処するのが望ましいのよ」
しばらく進んだところで、先導していたリーナ師団長が歩みを止める。
「よし、ここら辺でいいだろう」
そう言ってリーナ師団長が
すると…水の空洞の形が変化して円状に拡がっていく。
「師団長以上は
俺が聞く前にアミーラが説明を入れてくれる。
「逢魔は陸地を喰らう生き物なの。人々が此処に住み着く以前から
「領域に穴を空ける事によって逢魔をこの円状のスペースに誘導して定期的に始末しないといけない。逢魔の数を減らさなければ、いずれは物量で押し切られるからな。さて、お喋りはこれくらいにして、そろそろ来るぞ」
リーナ師団長がそう言うと頭上の水の膜から巨大な何が降ってきた。
俺たちは一斉に後方に飛び退く。
「よし、一旦領域を閉じた。ルイス、まずはお前からだ。一人で逢魔を仕留めろ!逢魔の中でも最弱のコイツを倒せなければこの任には付けないぞ」
まてまて、この流れだと次は俺もこの訳わからん生物と戦わないといけないのか…。
頭上から降ってきた逢魔が起き上がり、歩み出るルイスを睨みつけた。
黄色に輝く縦長の目。魚のような蒼い鱗を纏い、ドラゴンのような爪。その全長は大人5人分ぐらいはありそうだ。
「クロム…次はお前だ。ルイスをよく見ておけ。逢魔は別名、
「ヴォォォォォォ」
逢魔は今まで聞いた事もない種類の雄叫びをあげる。俺の僅かな記憶の範囲だが…。
直後、ルイスのいた位置に鋭い爪が振り下ろされる。
土煙が舞った時にはルイスは体を横に捻りながら逢魔の
ルイスはいつの間にか背中から抜いた柄の無い双剣で、逢魔に十字の剣撃を浴びせる。
「すごい…」
あまりに一瞬の出来事で俺はそれ以上言葉が出なかった。
逢魔は吹き飛ばされるがすぐに起き上がろうと体勢を整える。
…しかし、そんな逢魔の頭上から双剣が振り下ろされ、逢魔の頭部は見る影もなく押し潰された。
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