四人は初めて

「そろそろ寝るか。」

「そうだね、明日は朝一番で動かないと。」

 食事を終え風呂に入り、部屋へ戻ってきた一行。

 大地は瞑想をしていて、清華は何か考えていて、俊平と修平は話をしていた。

「にしても、あの天野って奴、信じてもいいんかね。」

「信じるしかないよ、他に手段もないし……。」

「まあそりゃそうなんだけどなぁ……。」

 夕暮れに会い、竜太と蓮を預けた相手、天野。

 破門されたと言う事は何かしらしでかしたのだろうと考えられるが、何をしでかしたのか、何故医者として活動しているのか、わからない。

「蓮君、大丈夫かなぁ……。」

「まだ日にちはある、ダイジョブだろ。」

「そうだと良いけど……。」

 嫌な予感がする、修平の本能がそう囁いている。

四日と言われたが、果たしてそれまで持つのかどうか、と。

 直感的な話なのだから信憑性は無いだろうが、それまで持つのか。

わからないが信じるしかない、それは自分に言い聞かせている様なものだった。

「取り合えず今日は寝るか、明日動けねぇと困るし。委員長も大地もそれでいいよな?」

「……、だから委員長ではありませんと……。まあわかりました、明日は早く動きましょう。」

「……。」

 俊平の言葉に大地も瞑想を止め、布団に入る。

「早く見つかると良いね、蓮君治す薬。」

「そうだな、今日は寝るぞ。」

「そうだね。」

 修平が最後に言葉を口にすると、四人は静かに眠りについた。


「はぁ……、はぁ……。」

「蓮君……。」

「少し休んだらどうだ?君も体力が持たなくなるぞ?」

「……、僕は大丈夫です。天野さんは休まなくて平気なんですか?」

 同時刻、天野の住処。

 苦しそうな呼吸をしている蓮の横で、竜太は不安げに蓮を見ていた。

「俺は休まなくても平気な体でな、その敷物も患者用なんだ。」

「そう、ですか……。」

 苦しそうな蓮を見て、休む気にはなれない。

 一刻も早く、薬草を見つけてきてほしい。

そう願うが、どうなるかどうかもわからない。

 不安な気持ちばかりが増していく、そうして竜太はどうしようもない焦燥感にかられる。

「慌てなさるな、仲間を信じるんだ。」

「……、はい……。」

 慌てても仕方がない。

 不安を何とか飲み込み、竜太は蓮の隣で座ったまま、ゆっくりと眠りに落ちていった。


「蓮、何とかなるといいな。」

「おや、今度はどうされましたか?」

「蓮が毒に侵されてるんだよ、あれは持って三日ってところだな。」

「助けに行かれないので?」

「あの子達の修行と試練にならんだろそれじゃ。それに、俺は信じてるからさ。」

「信じている、とは?」

「あの子達なら薬草を無事に持ってくる、間に合うってな。」

「成る程、貴方さんらしい。」

「そうかい?」

「ええ、そう思いますよ。」

「お褒め頂いて光栄だよ。」


「ふあぁ……。」

 翌日朝、修平が目を覚ますとまだ外は暗かった。

 日が昇りかけで窓から見える空は薄暗く、朝早い事がわかった。

「蓮君……。」

 昨日見た、苦し気な表情をした蓮を思い出し、顔を歪める。

 毒に侵されてしまった蓮、それを何とかする為に早く薬草を取りにいかなければ、と。

「ふぁ……。お、修平起きてたのか。」

「あ、俊平君おはよう。」

「おう。委員長と大地は、まだ寝てんのか?」

「そうみたいだよ。」

 すやすやと寝息をたてながら寝ている二人は、普段の無口で怖い大地や、厳しい清華とは少し違う表情をしている。

「寝てる分にゃ怖かねぇんだけどな、この二人。」

「それって起きてる時は怖いって事?」

「そりゃそうだろ?無口で厳ついのと委員長だぜ?怖ぇだろ。」

「俊平君ってほんとに、コミュ力はあるけどデリカシーはないよね……。」

 ため息をつく修平、俊平のデリカシーの無さは今に始まった事ではなかったが、再認識させられる。

 清華の事を一か月も一緒にいるのに委員長と呼び続けたり、大地の事を面と向かって厳ついと言ったり。

そんなデリカシーの無さが、コミュニケーションの障害になっている事に本人は気づいていない。

「腹減った、先飯食いいくべ。」

「そうだね、起きるの待ってもいいけど。」

「ほっときゃ後で来るだろ?」

「そうかなぁ。」

 さっさと部屋を出て行ってしまう俊平と、それを追いかける修平。

 この二人は比較的コミュニケーションをきちんと取れているから仲が良いが、基本俊平のペースに修平が合わせている形だ。

「……。」

 二人が部屋を出ていったのを確認したかのように、その後目を覚ます大地。

清華が起きる前にと、浴衣から僧衣に着替え始める。

「……。」

「んぅ……、おはようございま……、きゃ!」

「……?」

 大地が下着だけになり、僧衣を着ようとしていたその時。

 清華が目を覚まし、大地の方を向いてしまった。

「す、すみません!」

「い、いや……。」

 異性の半裸を見た事も、異性に半裸を見られた事もない。

硬直してしまう二人、顔が真っ赤になる。

「す、すぐ着替える……。」

「は、はい……!」

 清華は初めて見るその異性である大地の半裸姿に、大地は初めて異性である清華に半裸を見られた事に。

恥じらい、気まずくなる。

「で、では……。儂は、食事へ行く……。」

「は、はい……。」

 そそくさと僧衣に着替えた大地は、修平と俊平を追いかける様に部屋を出ていき、清華一人になる。

「は、初めて……。男性の、裸を……。」

 清華は年相応よりも幼く見える、恥じらいの中で暫く顔を赤くしていた。


「……。」

「あ、大地君おはよ。」

「ん?なんか顔赤くね?」

 食堂に降りてきた大地だったが、まだ顔が火照っている。

それを俊平に指摘された大地は、先ほどの出来事を思い出し、更に顔を赤くする。

「なんかあったんか?熱でも出たか?」

「……。」

「大丈夫?」

 俊平と修平が心配そうな声を上げるが、大地は何も語らない。

恥ずかしすぎて語れない、というのが正しい所だろう。

「まあ取り合えず飯食おうぜ、早く動かねぇと蓮がアブねぇんだ。」

「そうだね、急ごう。」

「……。」

 顔を真っ赤にしたまま席に着席する大地、そこに着替えを終えた清華が入って来た。

「あ……。」

「……。」

 丁度入口の反対側に座っていた大地と目線が合い、お互いに顔が更に赤くなる。

「なんだなんだ?二人揃って顔真っ赤じゃねぇか。どしたんだ?」

「何かあったの?」

「い、いえ……。何も、ありません……。」

 大地の前の席が空いていたから、仕方ないと座りながら誤魔化す清華。

大地はもう全くの無言で、顔を只々真っ赤にしている。

「なんだよだんまりかよ、つまんねぇの。」

「俊平君、言い過ぎ……。」

「あ、貴方は異性の裸を!あ……。」

 俊平の言葉に思わず声を荒げてしまう清華、思わず言ってしまったと小さくなってしまう。

「裸?大地の着替えでも見たんか?」

「……!」

「あぁそゆことか、委員長は男の裸とか見た事ねぇんだな。」

「……。」

 図星を突かれ、黙ってしまう清華。

 俊平は、清華は男家庭で過ごして来たと聞いていたから、てっきり裸など見慣れているのだろうと思ったが、どうやら違ったようだ。

「剣道一家の生まれだって聞いたからよ、男の裸なんて見慣れてるもんだと思ってたぜ。」

「俊平君、清華ちゃんも女の子なんだよ?男の人の裸見たことなくたっておかしくないでしょ。」

 修平がそっとフォローを入れるが、清華の顔はゆであがったかの様に真っ赤になったままだ。

大地もそれは同じで、俯き必死になってそれを隠そうとしている。

「そんな事いちいち気にしててもしゃーねぇべ、さっさと飯食って探索行こうぜ。」

「俊平君って本当に……。」

「なんだ?」

「なんでもないよ、俺もそれに賛成。」

 丁度給仕が朝食を運ばれてきて、この話はお終いという空気になる。

 清華も大地も恥ずかしさを拭えずにいたが、しかしそれでも蓮の為に早く動こうという気持ちはあったらしく、黙って食事を口にした。


「……、朝……。」

 竜太は目を覚ます。

 そこは昨晩記憶が無くなる前に居た天野の住処で、隣では蓮が苦し気な呼吸をしながら寝ていた。

「天野さんは何処……?」

 日が登り始めていて、今が丁度朝だという事はわかったが、天野の行方がわからない竜太。

 探知を使ってみるが、やはりと言うべきか天野の波動は探知出来ない。

周囲に人間の気配もなく、魔物や動物の気配だけが探知に引っかかる。

「はぁ……。」

 鍛錬不足で天野の探知が出来ない、そうかもしれない。

 しかし、目の前にいるにも関わらず探知出来ないというのは、どう考えてもおかしい。

 そして、破門された元医者だと言う事。

何か繋がりがあるのではないだろうか、ディンなら何か知っているんじゃないだろうか。

「蓮君……。」

 早く薬草を持ってきてほしい、無事帰ってきてほしい。

そう願いながら、竜太は蓮の頭を撫でた。


「さ、行こうぜ。」

「そうだね。」

「はい、行きましょう。」

「……。」

 朝食を終え、着替えをした一行。

 取り合えず普段の調子を取り戻した清華と、まだ恥ずかしさが残っている大地が少し対照的だ。

 大地は相変わらず顔を赤くしたままだったが、それを気にしていてはいつまでも動けないと、三人は探索に行くことを提案した。

 大地もそれはわかっている様で、顔を赤くしたままそれにわかったと頷いた。

「あの場所まで行きゃなんかあんだろ?」

「天野さんはそう言ってたよね。」

「また魔物が現れねぇといいけどな。」

 街中を歩きながら、修平と俊平は話している。

清華は無言でその後ろを歩いており、大地はまだ顔を赤くしたままだ。

「間に合うといいけど……。」

「間に合わせるんだよ、なんとしてもな。」

「それもそうだね。」

 街中を歩いていると、やはりというべきか好奇の目線にさらされる。

昨日は魔物の討伐で緊張していたから気付かなかったが、それだけ旅人というのは珍しい様だ。

「人の事じろっじろ見てきやがるなぁこいつら。」

「人の事そんなふうに言っちゃ駄目だよ、俊平君。」

「目線がいてぇって話だよ、落ち着かねぇ。」

 まるで、昔修行をしていた時の様だと俊平は感じる。

父親についていた弟子達の目線に晒されながら、貶されながら修行をしていた時の様だと。

「さっさと行こうぜ、居心地わりぃったらありゃしねぇ。」

「あ、俊平君待ってよ!」

 俊平が視線に耐えられずに走り出すと、修平がその後を追い、清華と大地も遅れてその後を走っていった。


「ここらだったよな?」

「そうだね、確かこの辺だったはずだよ。洞窟があるんだっけ?」

 三十分程で、先日魔物と戦った場所へと辿り着いた一行。

 天野の話では洞窟に咲いている青い花という事だったが、まずは洞窟を探さなければならない。

「各自捜索しましょう、時間が惜しいです。」

「でも魔物が出てきたら……。」

「私達も戦って来たんですよ?少しは戦闘には慣れているはずです。」

 清華が提案した事を修平が遮ると、清華は少しピリピリした空気を醸し出す。

 それだけ蓮を案じているのだろうが、それがわからない修平には怖いという印象を与えてしまう。

「魔物に遭遇したら大声を出す、程度で良いのではないでしょうか?」

「そ、そうかも……。」

 清華は出来るだけ強くない口調で話そうとするが、時すでに遅しと言った所だろう。

 改めて怖い人という印象を修平に与えてしまい、清華は心の内で少し後悔する。

「じゃあ俺、あっち行くわ。」

 俊平がそれに賛成だと、一足先に北の方角へ向かう。

「私はこちらを。」

「……。」

 清華は東へ向かい、大地は無言で南へ向かう。

「仕方ないかぁ……。」

 残された修平は諦めた様な声を出し、西へ向かった。


「……。」

 南へと向かった大地は一人、洞窟の入り口を探していた。

日が昇りだいぶ周りも見え、洞窟があればすぐにでも見つけられそうだ。

「……。」

 蓮は大丈夫だろうか、竜太がいなくても大丈夫だろうか。

 厳つい見た目に対し思慮深く少し繊細な部分もある大地は、一抹の不安を抱えながら探索を続ける。

 土を草履が踏みしめる音、自分の呼吸音、風が体を抜けていく音以外は何も聞こえてこない。

魔物が現れる様子もなく、ゆっくりと探索が出来そうだ。

「……。」

 所々に昨日倒したであろう魔物や、いつか倒されたのであろう魔物の骸が転がっている。

 今まではこんな事は無かった、魔物は倒されれば霧散していたはずだ。

タンパク質の腐った様な匂いが漂う中、大地はそう考えながら歩き続ける。

「……?」

 カタリ。

そう音が聞こえた気がした大地は、その音の方向を向く。

 その方向にも骸が転がっていて、しかし生ける者の気配はない。

「……。」

 しかし、竜太は昨日魔物に気付かずに戦闘を開始した。

共鳴探知、それに最初掛からなかったと言う事は、魔物がいないとは言い切れない。

 いつ魔物が現れてもいい様に、六尺棒を構えながら大地は探索をする。


「洞窟……。」

 東へ行った清華もまた、洞窟を探していた。

早く蓮を治してあげなければと、使命感と焦りを感じながら。

「魔物が消えていない……、どういう事なのでしょう……?」

 清華が向かった東の方向にも、骸は散在していた。

腐敗臭にする中探索を続けていると、違和感を覚える。

「何か、嫌な予感がします……。」

 独り言を話しながら歩く清華は、何か良くない気配を感じていた。

先日魔物と戦った際に感じた気配の様な、おぼろげだが何かを感じる。

 日本刀に右手を添え、いつでも抜けるようにする。

「……?」

 風の流れる音がする。

何か空洞の様な物に、風が入っているのだろうか。

 耳を澄ませてみると、どうやら東の方向から聞こえてくる様だ。

「これは……。」

 少し東へと足を進めると、洞窟と思しき空洞を見つける。

「皆さん!洞窟がありました!」

 清華は大声を出し、三人を呼び寄せようとする。

「すぐには来ません、よね……。」

 しかし、捜索を始めて少し時間が経っている為、すぐには来れないだろうと判断する。

 先に洞窟へ入って探索をするか、それとも三人を待つか。

思案している間に、後ろの方から足音が聞こえてきた。

「早かったですね……、え!?魔物!?」

 しかしその足音は、三人の内の誰かのものではなかった。

清華が大声を出したことで、魔物に気付かれそれらが接近してきていたのだ。

「やるしか、ないですね……!」

 日本刀を抜き、構える。

魔物の数は見える所で十体程度、何とか一人でも切り抜けられるだろうか。

「ええい!」

 清華は一人で戦うという恐怖と向き合いながら、魔物へと突撃していった。


「えーっと、洞窟……。」

 その頃、修平は西を探索していた。

中々洞窟は見つからず、焦りばかりが増していく。

「どっかにないのかなぁ……。」

 魔物がいつ現れてもいい様に、グローブを装着したまま歩く修平。

周囲の気配を探ろうとするが、そういった事が苦手な修平には難しそうだ。

 元々動物を友としていた大地は生き物の気配に敏感で、清華や俊平はそういった修行をしてきたのだからある程度は察する事が出来る。

 しかし、修平はそういった修行を苦手とし、ウォルフとの修行の際にもそれを自覚していた。

からして、無駄なのだろうがと考えてしまう。

「はぁ……。」

 昔からだ、精神的に未熟だと自分でも自覚している。

 メンタルトレーニングとでも言えばいいのだろか、精神面の不安定さを自覚していて、それが影響を及ぼす事柄が苦手だった。

 他人を見極める洞察眼や、心理を読み取る観察眼など、そう言った物が苦手な修平。

そのせいで問題が起きた事も何度かはあり、それにウォルフの言葉が重なり頭の隅から離れない。

(妹さんの首を締めているのがわからないのか?)

「俺が……、綾子の首を……。」

 探索に集中しようにも、一人でいるとその事を思い出してしまう。

 歩みを止め、その言葉を思い出す。

 何が首を締めているのかは理解出来ない、しかしウォルフが無意味な言葉を発するとも思えない。

修平の何かが、妹である綾子を苦しめている。

「そんな事……。」

 あるはずがない、そう信じて今まで生きてきた。

 しかしこう妹から離れ、修行に明け暮れ、戦う日々に身を置くと。

何かが違うと、そう感じてしまう。

「今は洞窟を探さなきゃ……。」

 今はそんな事を考えている場合ではない、そう思っても考えてしまう。

そんな注意力の散漫になった修平の近くに、忍び寄る影がある事にも気付かずに。


「あー、委員長こえぇからああ言ったけど、どうしたもんかなぁ。」

 北へ向かった俊平は一人、不安げな声を上げる。

 周囲の気配を探りながらの探索で、近くに魔物がいない事はわかってはいるものの。

昨日の様に、突然現れたら対処出来るだろうかと考えながら。

きょろきょろと辺りを見回し、洞窟を探す。

「ねぇかなぁ……。」

 陽の昇り具合からある程度時間が経った事は理解出来るが、中々洞窟が見つからない。

他の三人は何処かに洞窟を見つけただろうか、一度戻ろうかと考えたその時。

「……?」

 後方で、何かが動く気配がした。

三人の内誰かが洞窟を見つけてきたのだろうか、と振り向く。

「ま、魔物!」

 しかしそこには十数体の魔物がいた、それも臨戦態勢で。

「くっそ!気付かなかった!」

 昨日と言い、何故魔物の気配に気付かなかったのか。

 天野が竜太に言っていた鍛錬不足と言われればそこまでだが、そうでもない気がする。

昨日も見た人間の様な魔物は、何か普通の魔物とは違う、そう感じる。

「やるしか、ねぇな……。」

 直刀を抜き、構える。

「ふー……、せいやぁ!」

 呼吸を整え、気合を入れる。

そして魔物へ向け突撃し、戦いは始まった。


「皆さん、大丈夫かなぁ……。」

「竜太……、君……?」

「蓮君、起きたの?大丈夫?水とか飲む?」

「あり……、がとう……。」

 蓮が目を覚まし、竜太が天野の住処にある水瓶から水を汲み、蓮に渡す。

蓮は苦し気に上体を起こし、水をゆっくりと飲む。

 天野はまだ帰ってきておらず、二人きりだ。

「みん、なは……?」

「蓮君の毒を治すために、薬草を探しに行ってるよ。大丈夫、すぐ帰ってきてくれるから。」

 それは願望にも近い言葉だった。

 蓮が苦しむ姿を見たくはないし、早く無事に帰ってきてほしい。

そんな願望が、竜太の言葉の中にはあった。

「皆さん、早く帰ってきてくださいね……。」

 竜太は願う、皆が無事である事を。

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