第三話 エリスの秘密
アリス・グウェン・トルディアン。
俺の先生であり、友達である。それ故に距離感がつかめないというかなんというか。はっきり言えば距離が恋人なのである。距離といえば、ミーヤもそうだ。毒舌ゆえに、仲良くなれた気がする。正直、友達だと思ってる。多分暴言を用いて否定されるだろうけど。
「まあもう最後だし、全部話しちゃおうか。初夜の時に話せなかったこと、すべて」
「ははは。初夜って、あれのことですよね。一緒のベットで寝た時のことですよね」
「ほんと。初めてだから優しくしてって言ったのに」
照れるように頬に手を置いて、上目使いで見られても、俺は屈しないぞ。改ざんされてたまるものか。寝ただけだからな。話しただけだからな!
「それじゃ、全部教えてくれるんですよね」
「そうだよ。私の隅から隅まで赤裸々に全部教えてあげるよ」
ニュアンスがおかしい。
「改めての自己紹介。私の名前はエリスです。巷では、『災厄の女神』って呼ばれてる、健全な3500歳の、神たちから追放された、かわいい女神の片割れだよ」
「・・・・・・はい?」
いっちょん分からん。
*女神アリス*
アリス。
彼女は女神ニュクスの娘であり、軍神アレースの妹にあたる子である。幼少(200歳)の頃から魔法の才能に気付き、わずか300歳で叡智の女神ミネルバの教え子となる。
ほかの神と女神である弟子たちを見ながら、彼女はふと思った。
『私、天才じゃね?』
実際はもっと邪悪そうだったとか。それからというもの、魔法を極めながら、どんどんほかの弟子たちを追い抜いていき、最後には弟子を全員一人で倒し、無理やり卒業したという。
まさしく天才。
大人たちにもてはやされ、調子に乗りまくった彼女は、やらかしてしまう。卒業してから千年。学ぶことも特になくなった彼女は、既に最高神の魔法の能力に達していた。そして禁忌に触れる。
既に存在する世界に暗黒と不和をもたらし、世界を新たに創造したのだ。
『今思えば、たいして価値がないことだったなあ』
と反逆神は語る。
結果を言えば、創造は失敗。元の世界をバラバラに崩壊させ、そして今は、監獄領域、通称エンド・オブ・プリズン(彼女が命名)に、今日を持って二千年くらい住み続けているのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます