第27話 面白い道


「わあ、面白い」


私は一人で声をあげた。右手も左手もきれいな色の線にふれながら、進んだ。もちろん、せまいところも通りにくいところもあったけれど、それは線が教えてくれた。

つまり線の所を手でさわると、ちょっと飛び出ていたりしているので、指が引っかかり、のぼりやすくなるのだ。


「わあ、ちょっとボルダリングみたい」

と思ったら、二人がそうやってここで楽しくあそんでいる姿すがた想像そうぞうできた。道は本当に細くせまくなって、夢中になって進んでいたら


「いたい! 」

「あ! ごめんももちゃん! おしりが当たっちゃった! 大丈夫だいじょうぶ? 」

「うん、あれ? 僕、ねむっていた? 」

「そうよ、気分が悪くない? この道上に行ったり下に行ったりしなきゃいけないから」

「それは大丈夫だよ、僕も馬だからゆれるのはなれているんだ」

「そっか、もうちょっとしたら着きそう。だって線が太くなっているんだもん」

「線? 」

「後で説明するね、ちょっと最後さいご難関なんかんみたい」

人間一人がはいつくばって、やっと通れる道があって、その先が明るくなっていたので、私は最近さいきんおぼえた言葉、ほふく前進で進んだ。ひじをつき、手の力で何とかその道を通り抜けると、そこには藍の男の子と同じくらいの大きさで、とてもきれいな水色の作務衣さむえを着た男の子がいた。


 私は気が付いた。私を見たときに驚いたような、残念なような顔をしたことを。

きっと本当は、藍の男の子に会いたかったのだと。

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