第26話 伝える人


「私がそのお友達と話したらどうかな? あなたがとても心配していることも伝えたら、きっと心も少し変わるかもしれない」


「ああ・・・とう子ちゃん・・・そうしてくれるかい? 

でもね、この前会った時はこの世界から出て行きたいって言っていたんだ。「外の世界の方がきっと僕を受け入れてくれるかもしれない」って・・・」


「もし、外の世界にお友達が行ってしまったら・・・悲しいでしょう? 」


「それは悲しいけれど、ここで彼が一人で、僕が本当にわかってあげることの出来ない苦しみをずっと持ったままよりは、外の世界で楽しく過ごせるならば、それでいいと思うんだ」


「そうなの・・・」

私は「友情ゆうじょう」というのはこういうことなのかと思った。


「とう子ちゃん、彼を外の世界に連れて行けるのはユニコーン君だけなんだ」


「わかった、ももちゃんを連れて行くね」


「彼の所に行くにはとても小さなところを通って行かなければいけないけれど、いいかな」

「うん、どっちの方向? 」


「そこ、ほら、藍の色と水色の線が右と左にあるだろう? どちらがでこぼこのところにまっすぐ線を引けるかで、競争きょうそうしたんだよ、でもそれもかなり前のことだけれど・・・」


悲しそうな藍色の顔を見て、私はたなのももちゃんをまた後ろポケットに入れ、藍色の水色の線の道をすすむことにした。




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