第24話 藍の色
「いらっしゃい、とう子ちゃん。この前ユニコーンに乗って陶器の山にいったんだろう? いつかここにも来てくれないかと思っていたんだ」
「そう、これがあの藍色の布の中なの? 」
「そうだよ、そして僕らが「藍色」なんだ。ぼくらがこの布の中にいるから藍色に見えるんだ」
「え! いるからっていうことは・・・染まっているって言うのはじゃあ・・・」
「僕は藍色だけれど、色々な色が布に入り込んでいるんだよ。でも色によっては水に流されやすい色もある」
「そうか、だからなのね! 三年生の時にタマネギの皮でハンカチを染めたら、出来たときはとってもきれいだったんだけど、洗濯していたら、色がどんどん薄くなっていったの」
「そうなることが多いんだけれど、僕ら藍は水に流されない、流されにくいんだ」
「そうなんだ・・・じゃあなぞなぞが解けた、色は布の中にいるだけで、布の色が変わっているわけじゃないんだ」
「そう! 正解! とう子ちゃん、立ったままは疲れるだろう? すわろうか、丁度いい高さに糸の椅子があるから」
「うん、でもちょっとまって」
私は忘れないように、ももちゃんをポケットからそっと取り出した。そしてハンカチを広げると、ももちゃんは目をつぶっている。
「あれだけゆれたのに、ももちゃんは眠っちゃったんだ」
「ももちゃん? ああ、名前をつけてあげたんだ、うらやましい。ここにおいて置こうか? ちょっと高いところに」
「そうね」
私の胸の高さくらいの所に水平で、ちょっと広めの所があったので、ハンカチを置いて、ももちゃんの首だけ出してハンカチを折り曲げた。
「とう子ちゃんは優しい」
「ううん、この世界の人たちのほうが、みんな優しい人ばかりだと思うけれど」
「そうかな・・・僕は・・・そうじゃないかもしれない」
「え? 」
藍の男の子はとても暗い表情になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます