第22話 ユニコーンという馬


「うわ! 」「おっと! 」


 私もももちゃんも声をあげた。たいらの布の中に入ったのだから、でこぼこも何にもない世界だろうと思ったのだ。でもこの世界に入った途端、ももちゃんは馬、と言うより険しい山に住んでいるヤギのように、でこぼことしたところをぴょんぴょんとんで、やっと着地をしたと思ったら、今度は誰も入ったことのない山奥のように、いたる所に何かが飛び出ていた。

ねじれた感じの枝のような物がまっすぐだったり、斜めだったり、途中で切れたりしている。しかも全部が同じ色、白いような、ちょっと透明のような感じだ。


「これが布の世界なの? ももちゃん」

木綿布もめんぬの、だからかな? 僕も初めてだからわからない」


私はももちゃんの背中からおりてみると、いびつな形のジャングジムのようで楽しそうだけれど、ももちゃんの大きさでは動くのは難しいと思った。


「どうしよう、ここじゃ、ももちゃんが動けない」

「そうみたいだね、でもそれは心配ないよ、まあ、とう子ちゃんが僕をはこんでくれるかお願いしないといけないけれど」


「え? わたしがももちゃんを運ぶ? 」

さすがに驚いたけれど

「僕ね、とってもちっちゃくなれるんだ」

「どれぐらい? 」

「まあ見てて、踏みつぶさないでね」とももちゃんは笑いながらそう言うと、私の目の前からふっと消えてしまった。

「え! 」と声をあげて、下を見ると。


「わあ!! すごい!! 陶器のユニコーンだ! 」


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