第20話 悲しみ


 それから二十分くらいたっても、ユニコーンは現れてはくれなかった。やっぱりこの前の事は夢だったのかと考えてみたけれど、それよりも一つ気が付いたのは


「ああ・・・割れたコーヒーカップの話しをしたからかな」


ユニコーンには悲しい思い出がよみがえってしまったのかもしれない。だったら

私はすることがある。なぞなぞをかなければいけない。


おじいちゃんの喫茶店には一つだけ丸いテーブルがあって、それにはテーブルクロスがけてある。青い色の布だ。本当は「藍色あいいろ」と言うんだそうで、お客さんの一人がこれめてを作ったそうだ。そう言う人を「染織家せんしょくか」というらしい。


「同じ色ってどういうことだろう。この藍だって、色がついているし、このテーブルクロスは裕美ゆみお姉ちゃんが「自分と同じ年なのに色が全然変わっていない、もっとふかい色になっている見たい」って言っていた。

 裕美お姉ちゃんというのは従兄弟いとこの一番年上のお姉ちゃんで、今はもう仕事しごとをしている。だからこのテーブルクロスは私よりもずっと年上としうえだ。


「同じ色・・・うーん・・・あ! ちょっとだけここうすいかな。下の方だから気が付かなかった。でも水色みたいできれい」


とその部分にちょっとれようとしたとき


「カカ!!! 」


と後ろの方で音がした。


「あ! ユニコーンさん!! 」

「こうやって会うのは何日ぶりかな。でも僕は毎日とう子ちゃんと会っているよ、声はかけることは出来ないけれど」

「そうなんだ! 私の声は聞こえているの? 」

「もちろん! 」

「じゃあ、必ずご挨拶あいさつするね!! 」

「ありがとう、みんなよろこぶぶよ」

そう二人で話していると、外から大きな声が聞こえた。


「ねえ、ママ、ここのお店の中にお馬さんがいるよ」

「まあ、そんなことはないわよ、ここは喫茶店でしょ? 」


「あ! 一カ所ブラインドを下ろしてなかった!! 」

私はあわてて窓の方に向かった。





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