第11話 ユニコーンのお願い


「ねえ、ユニコーンさんも陶器になれるの? 」


「もちろん! でもそうすると力をいっぱい使っちゃうんだよ。だから・・・」


「そうか、私をれて帰れなくなるかな」


「とう子ちゃん、またまた正解」


そう楽しく話していると、雨が上がり、日差ひざしが出てきた。

私はもしかしたら、誰かがまた陶器になってくれるかなと思いながら森の中をキョロキョロ見ていたけれど、ユニコーンがどこかかなしい顔になっているのに気が付いた。


「ユニコーンさん、どうしたの? 」


「うん・・・実はね・・・ちょっととう子ちゃんにお願いというか・・・」


「え? 私に? 私がここで出来ることなら何でもするけれど」


「ありがとう・・・」

ユニコーンの顔は決してれとしてはいなかった。


「何かあったの? 」


「えーっとね・・・きっととにかく人間のとう子ちゃんが会って話しをしてくれた方が良いように思うんだ。あの子は、人間になっちゃったから」


「人間になった? 」


「元々はお花だったんだけれどね。時々そんなことが起こるんだ」

その悲しそうな声の後、私は「わあ! 」という驚いた声を上げてしまった。


森の中に急に陶器の道が出来たのだ。さっき見た植木鉢のような物ではなくて、白い陶器の道、そこに小さなお花がいっぱい描かれている。とてもとてもきれいな道だった。


「ああ、きっとこの道の先に彼女がいるんだ」

「わかった、いってくるね」

私はすこし走った。何故なぜならもう少ししたらおじいちゃんが帰ってくる時間だろうし、この道の花を、長い間ふみつけたくはなかったから。


すこし曲がった道をすすむと、小さな川が流れていて、私と同じ年くらいの女の子がしゃがんで見ていた。

でも私の靴が陶器の道で出す、キュッという音に気が付いて、その子は私の方を向いて立った。


「あ・・・・あ・・・・

私・・・・あなたに・・・・・

ごめんなさい・・・・」


初めて見るその女の子に、私はあやまった。






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