第12話 さびしいこと
その女の子の顔は見たことがなかった。でもその子の着ている
白いワンピース、スカートの所には少し背の高い薄い
「ごめんなさい・・・カップの事ばかり話して、ソーサーのあなたのことを・・・」私がそう言うと、その子は
「良いのよ、とう子ちゃん、私、とう子ちゃんにお店に連れてきてもらって、とっても楽しいの、ああ、お願い、とう子ちゃん泣かないで」
気が付いたら、私は泣いていた。
泣いている私をソーサーから人間の女の子になった彼女はなぐさめてくれた。お客さんのほとんどは私と同じようにカップの、ユニコーンたちの絵に夢中になったそうだ。ソーサーの彼女はどれだけさびしかっただろう。
でも入院前のおばあちゃんが
「このソーサーがとても素敵だと言うお客さんがいてね、お店を教えたのだけれど、もう全部売り切れていたんですって」
と話してくれたことがあった。それを聞いて私はとてもうれしかったけれど、そのことも・・・ソーサーでコーヒー牛乳を飲んでいるときでさえ、思い出せなかった。
「ごめんなさい・・・」
「とう子ちゃん・・・ユニコーンさんに頼まれて来たのでしょ? 実はね・・・私もとう子ちゃんに聞いて欲しいお話があって」
ユニコーンと同じ顔をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます