第7話 少しちっちゃなユニコーン


 その声の後、カカッツという音もした。それがすべて私の背中せなかの方からだったので、ふりかえるとそこには


「あ・・・お馬さん・・・いや・・・ポニー・・・ちがうね、

カップの中の・・・・ユニコーン!! 」


「それも正解! ああ、とう子ちゃん、コーヒーカップをソーサーの上にいてくれるかな、割れちゃうと大変だから」


「うん!! 」

素直すなおにカップをおくと、カップの絵のユニコーンが消えて、しかも絵の鳥たちはカップの表面ひょうめんまわっている。


「わあ! 不思議!! 」

「鳥たちは外に出てしまうと、遠くに飛んで行っちゃうからお留守番してもらっているんだ」


 そう言ったユニコーンを私はあらためて見た。

本当に絵の通り、くすんだピンクも、薄い深緑の葉っぱも、たてがみの花も全く同じだった。


「暗いから、外の人には僕は見えないかな? 」

「う、うん! きっと大丈夫、ああ! かわいい!! 」

「そう・・・でも・・・あんまり格好かっこうよくないけど」


ユニコーンさんは、私の言ったことを聞いていた様だった。


「あ・・・ごめんなさい・・・」

「違うんだよ、こっちこそごめん、とう子ちゃん。本当にとう子ちゃんに会えて、ここに連れてきてもらって、僕は本当にうれしいんだ! 色々な人が僕たちを見てくれる。笑顔えがおになって帰って行ってくれる、生まれてきて良かったと思えるんだ」


「そう! それは良かった!! 」

私は少しユニコーンさんに手を伸ばし、ふれてみたくなった。

「とう子ちゃん、僕たちの世界に一緒いっしょに行かない? 背中に乗って」


「え!!! 」

きっとお店中にひびく、私のうれしそうな声がしたはずだ。

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