最終話 茶番劇の真実

潺「おい、実生・・、これどういうことだ」


実生「どういうことって、そのまんまの意味だよ」


潺「何をしたらこうなるんだ!?」


実生「さあ、私にはわからないや」


ていうか、僕が犯罪者?

来るんじゃなかった、実生にやられた。

実生に人生を狂わされた。


実生「それよりいいの?逃げなくて?」


潺「・・・」


実生「幸い逃走ルートやその手段は持っているよ。早く逃げないと警察に逮捕されちゃうよ」


潺「そうだね」


はあ、帰りたい。

まさか実生がここまでするなんて・・

もう二度と元の生活には戻れないのかな。


実生「どうしたの?」


潺「何でもない」


実生「あ、もしかして私に見とれちゃったの?」


こんな時でも平常運転だ。

メンタルが鉄でできてるのかな?


実生「一応、私の家は金持ちだから見つからない建物があるからそこに一旦避難しよう」


潺「なあ、なんでこんなことしたんだ?」


実生「な、なんでって、潺君と一緒になりたいからだよ」


いや、それにしては変だ。

いくら実生でもそこまでしないはず。

なんでこうなったんだ?


【別荘】


実生「着いたよ」


ここは長野県だ。

山の深いところに建てられてある、建物が周りに反している


潺「!」


潺「こんな家でばれないのか?」


実生「大丈夫だよ」


何が大丈夫なのか分からないが、無駄に壮麗だ。

こんな豪華な家なら一発で見つかるんじゃないか。

多分、大丈夫だな・・


実生「じゃあ、潺君。入ろうね」


潺「うわあ」


広すぎる・・

頭がおかしいほど。

ここで隠れていれば当然安心だな。


潺「って、何なごんでんだーー」


潺「本当に聞かせてくれ、こんな状況君は望んでないだろ」


実生「うーん、なんでだろうね。私忘れちゃった」


本当に忘れたのか、それとも都合の悪い情報は伝えたくないのか。

実生という女性はいまいち良く分からない。


実生「ねえ、とりあえずテレビを見ようよ」


ポチッ


テレビ「えー、こちら警視庁前です」


テレビ「たった今、警察が犯人逮捕へと向かっているようです」


潺「おい、やべえよ」


潺「ばれないよな?」


実生「大丈夫だよ、たぶん」


実生にしては珍しく余裕がない。

裏を返せば、大丈夫じゃないかもしれない。


実生「大丈夫だよ、この家には大量の武器があるから」


テレビ「えー、現在犯人逮捕に向けて動いているようです」


テレビ「えーと、犯人情報は長野県の三日月家が所持している別荘のようです」


潺「いや、ばれてんじゃん」


潺「どうしよう」


実生が大丈夫と言っていた家があっさりとばれていた。

どうしよう、もう死ぬしかないのか


潺「逃走ルートってある?」


実生「ないよ」


潺「終わった・・・」


潺「ていうか、こうなったのもお前のせいだから責任とれよ」


実生「いや、これは私のせいじゃない」


潺「えええ・・」


実生じゃないなら誰のせいなんだ?

あの状況で実生以外居ないだろう。


テレビ「あー、たった今警察が現場に来たようです」


潺「速っ」


潺「ちょ、早く武器を用意しないと逮捕されるよ」


実生「ここに武器があるよ」


潺「よし、これを借りて食い止めよう」


警察「突撃ー」


警察「うわっ」


潺「これなら近づけないだろ」


ババババババババババババババ


武器と弾なら死ぬほどある。


潺「どうだこれなら近づけないだろ」


警察「申し上げます、裏門にも人がいるようで近づけません」


警察「うーん、少し甘い言葉で防衛を緩めるしかないな」


いったん攻撃が止んだか。

よかった、あんまり死者を出したくないからな

そういえば、警察の大半が実生のいる裏門に回ったな。

何かあったんだろうか。


警察「なあー今、降伏したら刑を軽くしてあげるから」


実生に降伏を進めていた。

実生はそんな方法には引っかからないよ、大丈夫だ。


実生「降伏します」


潺「!?」


警察「協力感謝する」


まさか実生が裏切った?

これは断じて嘘だ、まさか実生が裏切るなんて・・・


警察「さあ、今度こそ突撃だー」


潺「終わった」


この建物は守るのは簡単だが、いったん侵入されたら弱いという構造がある。

実生が裏切って警察に着いたなら終わった。

はあ、もうちょっと学校生活を送りたかったなあ

ん?なんで自分はこの建物の構造を知っているんだ?


潺「なんか、思い出しそう」


テレビ「今、建物の一端が突破されました。警察に続いて私もついていきます」


一回から警察が向かっている音が聞こえる、次期逮捕されるだろう。

それより、何か思い出しそうだ。


潺「うぐ」


警察「警察だ動くな、両手をあげろ」


警察「!?」


潺「はははははははははははは、あははは」


思い出した・・

なんで僕がこんな状況にあっているのか。


潺「お前ら馬鹿だな、これは僕の茶番だよ」


警察「お、思い出した。この一連の騒動はこの人が仕組んでいたんだ」


全て思い出した。

自分は誰にも愛されない、嫌われている存在だった。

そんな自分が嫌だから金で雇って、この青春を送ったんだ。

実生が裏切ったのは、金で雇われたことを思い出したからだろう。

実生が裏切りさえしなければ順調だったのに。


警察「き、貴様逮捕してやる」


潺「ああ、いいよ。十分楽しんだからね」


テレビ「なんと、今の今まであの男が仕組んでいたんです」


潺「くくくくくくくく」


ああ、もっと青春生活を送りたかったなあ


潺「!」


実生「それでも私は君が好きだよ」


潺「・・・ありがとう」


頬に一筋の涙が流れた。


外では珍しく桜が咲いていた・・・


【最終話終了】




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大好き!!死ぬほどに・・ 白黒 @sirokuro1-1

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