三
「歩美よ、明日は日曜日だな」
「そうだね?」
お風呂上り、おじさんは突然話を切り出して来た。よく見れば、ちゃぶ台の上に三枚のチケットを並べてある。
「裏の床屋の吉竹からこんなものを貰った。先日、奴の娘に誕生日プレゼントを贈ったのだが、そのお礼だそうだ」
「なになに? あ、これ市内にできたばかりのスケート場じゃん」
「うむ。まだ俺達は家族になって日が浅いことだし、これでも使って親睦を深めて来いと言われた。というわけで明日にでも行ってみぬか? 無論、他に用事があるならそちらを優先して構わん。別段期限が近いわけでもないしな」
「ん~、特に無いよ? 明日は暇」
「そうか、ならば三人で行こうではないか」
「ふふふ、楽しみね歩美」
「そだね」
それからしばらく明日の行動について話し合った後、歯を磨き、一足先に部屋へと戻る。私のためにわざわざ改築して作ってくれた子供部屋。前の家から持って来たベッドの上で、心配性のおじさんから連絡用にと渡されたキッズスマホを起動する。
友達にメッセージを送った。
『さおちゃん、ごめん。明日は遊びにいけなくなった。家族サービスしなくちゃ』
『そうなの? まあ、しかたないね。あゆゆのママとあのおじさん、新婚だもんね』
『そうなんだよ、ほんとにごめんね。月曜日にまた学校で』
『うん、楽しんで来て。それじゃ』
やれやれ、一人娘ってのも楽じゃないよ。
あっ、将来的には弟か妹ができる可能性もあるのかな? 想像した私の脳裏に浮かんで来たのは、おじさんが溺愛している姪っ子ちゃんの顔。
ぬいぐるみを抱きしめ、ベッドの上で転げ回る。
「うう~っ、友美ちゃんにまた会いたいなあ。次はいつ遊びに来るのかなあ。これからは親戚なんだし、もっと仲良くなれるかな~」
あの子めっちゃ可愛いんだよね! あー、早く会いたい。
弟か妹が生まれるなら、ああいう子だといいな。生意気な性格になんか育たないでよね。
ま、それはそれで可愛いかもしれないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます