#11 コーヒーで一息いれろと言ってる
「オレらの基本世界が、揺らいでるのかもしれない」
珍しくシリアスに、エージェントへ俺はつぶやいた。
「同意見です」
エージェントも頷いた。それにオレが続く
「解良瀬が魔法か超能力かを使える、そういうことになってるって認識だよな」
「はい」
「それで、ここへ戻ってきたわけですよね」
エージェントの眼鏡が光る。
「ああ、少し確かめたいことがあって」
出されたコーヒーを少し飲んだ。
「たとえばオレは今幽霊で、このコーヒーは『コーヒーの幽霊』とでもいう感じのヤツだ。だから俺はこれを飲める」
「では、幽霊じゃないコーヒーをオレが飲めた場合は?」
「揺らぎ、ですね。綻びと言えるかもしれない」
「というわけで、『生きているコーヒー』出してもらえるか」
「やりましょう」
エージェントも多少緊張しているのか。
「『生きているコーヒー』です」
見た目は『コーヒーの幽霊』と変わらない。これに触れたりできれば。これが、さっき言った実験だ。
「触ってみるぜ」
コーヒーに触れる。すると。
「!?」
オレは思わずのけぞった。
コーヒーカップが一瞬で空っぽになってしまったのだ。
「これは…… 大変なことですね」
エージェントも冷や汗をかいている。
基本が揺らいでいることはわかったが、それがどういうことなのかまでは、まだ、わからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます